絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

黙っているのが「愛」なのか

静かに時が流れる。

夜になったら何の物音もしない。

電話も鳴らない。

メールの着信音も・・・。

この世の中に私一人なのではないかと錯覚するくらい。

こんな日・・・無性にしたくなることがある。あっちゃんの持ち物の整理。

と、言っても片付けるのではない。あっちゃんの服を畳んでみたり、吊るしてみたり、鞄の中を探ってみたり、持ち物一つひとつ眺めてみたり・・・。

現実と向かい合う「哀しい」時間だが、心であっちゃんを感じる「優しい」時間でもある。


あっちゃんの鞄の中を探っていた。

1枚の写真が小さく折って隅の方に隠れる様に入っていた。

それには、大きく「食道静脈瘤」2014.5.26と書いてあった。


あっちゃんが、この世を去ってから幾つも出て来る「真実」に、心を掻き乱されてきた。

もちろん、涙なくしては聴けない感動の話も沢山あった。

私の知らないあっちゃん・・・がいた。


毎日一緒にいたはずなのに結構知らない事があることに驚き反省した。私は、どうやら毎日毎日「自分の事だけ」しか考えてなかったようだ。


あっちゃんの鞄の中から出てきた1枚の写真。

あっちゃんは知っていた、私の知らない「真実」。

食道静脈瘤ができていたのだ。しかも、四つも。あの時の吐血は、食道からのものだった。肝硬変 などにより、食道の粘膜下層の静脈が太くなって、それが、破裂することがあるらしい。すると、その結果、吐血 や下血が起こるわけだ。肝硬変の死亡原因の主要なものの一つで、緊急治療を要する恐ろしい病気だという事ぐらい容易に分かる。


あっちゃんは、知っていたのだ。だから、あまり驚かなかったんだ。

あっちゃんが亡くなってから分かる真実・・・それはあまりにも哀しすぎるではないか。 夫婦でも、隠し事の一つや二つはあるだろうとは思う。だけど、命に関わる事やお金の事は話すべきだろう・・・夫婦なら・・・。

黙っているのが「愛」なのか!

それは、違う気がする。

でも、あっちゃんは、何もかも黙ったままこの世を去った。

私は、その写真を右手で握りつぶした。

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