絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

ひとり追悼会

風の音が聞きたいと思い…あの海へやって来た。

朝から降っていた雨も…午前中で止み、陽射しが眩しかった。梅雨入りしたせいか木陰を吹く風は、水分を含んでいる。しかし、それが新緑の季節には良いのだろう。

緑を増した木々からは、新鮮な蒼い匂いがしてくるようだった。爽やかにさえ感じた。

木洩れ陽を浴びることができるいつもの場所へ車を停めて、揺れる葉桜の枝とその間から見える小さな…小さな海を眺めていた。ぼんやり眺めていた。

堤防の端の方に釣り人が、たった…2人いるだけだった。


「今日は一人追悼会をしよう。」

ふと…思った。


携帯のアルバムの中から…あっちゃんの写真と映像をゆっくり観る。ただそれだけ・・・。その中に、

肝性脳症の症状のため目を閉じ体を動かさないあっちゃんが。だけど、声は聞こえるらしく、話す事に頷いてみせたり、ゆっくりだけど一言二言…喋ったりしている映像がある。


はっきり喋れないから…ゆっくりと…でも確かにあっちゃんの声で…

「ゴンが・・・

すぅ きぃ やぁー」って…。


風に揺れる木の葉を見ながら…何度も聞いた。

風の音?

いいえ…あっちゃんの声。


(正直に言うと、肝性脳症でほとんど眠った状態のあっちゃんの耳元で

「ゴン…好きだ」って…言って!と私が半ば強制的に言わせたものだ)

その画面を繰り返し観た。

何度も何度も…聴いた。

繰り返し…聴いた。

姿は見えなくても、心の中でずっと生き続ける…なんて…

・・そんなの…嘘っぱち!

心の中で…生きていても意味がない。

心の中になんか…生きていない。

心の中は…あっちゃんも私も死んでいる。

いっその事…忘れてしまいたい。

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