絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

すき焼き…

それは・・・

突然にやってくる。

急に・・・哀しくなる。

息ができない程…哀しくなる。

走って、あっちゃんの遺影の前に座り、硬い遺影を抱きしめ・・泣く。

後から…後から込み上げてくる涙…

気づくと私は、

「あっちゃん

お腹空いたやろ……

何か食べたいやろ…。」と、言いながら、泣いていた。


23日間の闘病中、食べ物を口にしたのは、

1月8日の昼・夜だった。

箸を上に挙げ、おどけた顔でポーズをとっているあっちゃんが…今も…今も生きているかのように、携帯の中にいる。

この時が、緊急入院して、まさに、11日ぶりの食事だったから…。本当に嬉しそうに笑っている。

1月9日の朝…何故か…

だんだん食べ物を受け付けなくなっていった。

その日の夕食は、全く…手をつけることはなかった。

「食べ過ぎたかのぅ。」その言葉を残して、深い…深い眠りに入っていった。

お腹が空いているだろうに…


ただ…息はしていた。

尿も出ていた。

それだけが、「生きている」証だった。


意識が戻り始めたのは、それから一週間後の1月15日。

16日には、会話もできるようになった。しかし…食べ物は口にできない。水分管理もあった。

あっちゃんの体は、6本の点滴にも繋がれていた。

あっちゃんが口にできるものは、少量の水だけ。ゴクゴク飲めない。口が渇くので、水を霧吹き状で出てくる容器に入れていた。それを、あっちゃんの口元で噴射するのだ。3、4回。

それが、あっちゃんのご飯。


「俺の食事…」と言って口を開ける。

口全体が潤うように…。

ただ…それだけ


息を引き取る20日まで…


たった…それだけ。


彼のメモ帳には、食べたい物リストが…書いてあった。達筆な字で初めは書いてあった。(彼は習字7段)すき焼き、煮付け、お好み焼き、刺身…

でも…段々と・・・

「みかん」という文字が震えていた。すき焼き…って何度も震えた字で書いてあった。


あっちゃん…お腹空いたやろ?


また涙が止まらなくなった。

息ができない…

あっちゃん…。


お腹空いたやろ?

待っててね…

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