煙草のけむり…
見える…気がする…
あっちゃんがコンビニの店頭に置いてある筒状の灰皿の横に立って…煙草を吸っている姿が…
仕事もせず…お客さんと楽しそうに話しながら…煙草をくわえ笑っている姿が…
見えるようで…
コンビニの前を通ることを避けていた。
しかし…
今回の職場は、その道を通らなければ行くことができない。
職場に通じる道は2本ある。
そのうちの一本は、コンビニの前を通る道。
もう一つは、川に沿って走る道。
しかし…この道が朝7時30分から8時30分までの1時間、中学生専用の通学路になり、車は通れなくなる。
他に道はない。
朝7時45分…
仕方ないから…コンビニの前を通る。
真っ直ぐ前だけを見て…コンビニが視界に入ってこないよう…決して右側を向かない。
その時ばかりは、両手でグッとハンドルを握り、無心になるように心掛ける。
4ヶ月ぶりの仕事を終えて…帰宅。
帰り道は川沿いの道。
久しぶりに充実感があった。
心地よい疲れを感じていた。
この頑張りを誰かに…話したかった。
でも…
「ただいまー」
薄暗い家の中に入っていく。
明日もまた…コンビニの前の道を通る。
「頑張って来いよ。」って、夜勤明けのあっちゃんが、いつもの所で…煙草でも吸いながら…手を振ってくれたら…
いつか…
いつか…見えるかもしれない
今日も…「行ってきます」