もう一つの終り
父の死・・・・娘にとっては、
息子の死・・義父母にとっては、
兄の死・・・・義弟にとっては、
そして、私にとっては、夫の死。
同じ一人の人間の「死」だけれど、それぞれの立場で、感じ方や受け止め方にはかなりの温度差があるようだ。
悲しみや心の痛みを量る物差しがあるならば、夫を亡くした妻(私)が最もその量が多いだろうと感じる。
いつからだろう・・・
人混みの中に紛れていると、自然とあっちゃんの姿をさがすようになった。
いるはずがないのに・・・・・
誰も居ない家で、
「ただいまー」と・・・言ってみる。
声が返ってきそうで・・・耳をすます。
聞こえてくるはずないのに・・・
私はきっと、
ずっと・・・・ずっと、
あっちゃんの存在を、
探し求めていくような気がする。
彼に繋がる何かを・・、
探し求めて・・・・。
後二日で、4月。
春が来た。
彼と娘と過ごしたこの家
笑ったり、泣いたり・・・・
少しずつ築き上げてきた物も、 たくさんの思い出が詰まった物も、
全てがなくなる。
この家との生活が・・・
もう、終わろうとしている。
私に暖かい春が来るのは、もっと先のようだ。