「仮面家族」…繋がらない手と手
スープの冷めない距離にいる義父母とは、こんなにも近くにいながら、顔を見ない日も多い。理由は、私がほとんど「この家」にいる時は、外に出ないからだろう。
義父母が、私が住んでいる家に来るのは、娘が帰っている時だけだ。なっちゃんに会いに…嬉しそうにやって来る。
私が一人でいる時は、全く…来ない。
時々晩御飯の差し入れを持って来てくれる。料理上手な義母さんのおかずは本当に美味しい。
考えてみれば…あっちゃんがいた時も、娘が中学生になってからは、義父母の家にそう度々行くことはなくなった。
だから、こんなに近くにいながら、顔を合わせない日が1週間続いたりすることもある。
しかし、
リビング(我が家のリビングは2階にある。)に居て、テレビもつけずに窓を全部開けていると、外で近所の人と立ち話をしている声や2人が花壇の手入れをしている声が聞こえる。仲良し夫婦だ。羨ましい…。
2人は、84歳と79歳。
しっかり者で社交的な義母。
今でも近くの小学校のパトロール隊の一員として活躍している義父。
この2人に感謝こそすれ、恨みなんて全くない。だけど…どうしてだろう。あっちゃんが居た時から、ずっと私は、2人とは一線を引いた関係だった。
甘えることなんて絶対しないし、お願いもしたことがない。
あっちゃんがいなくなってから、その「一線」は、より太いものとなり、いくら哀しくても、辛くても…寂しくても・・泣き言一つ…言わない。
だから…スープの冷めない距離にいても…2人の前では、泣けない。
泣けないから…
「辛い…」って言えないから…
会いに行かない。
薄情な…鬼嫁・・・。
義父母の寂しさも分かってはいるが…
優しくしてあげたいけれど…
優しく…してあげられない…。
ただ、
2人とも元気だし。私はその事に感謝している。どちらかが病気になったら、大手を振って出て行けやしない。
大好きになれなくて…申し訳ないと思っている。嫁として何も出来なかったことに・・
もしかしたら、
あっちゃんが生きていて、これから2人のお世話や看病などをするうちに、好きになっていったのかもしれない。
共に過ごす時間が増えることで…
引かれていた「一線」が、「点線」になり、近づけたかもしれない。
あっちゃんが…いたら・・・
家族になれたはずだ…。