絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

哀しみは感情を壊す

無線に流れる男達の声


「今日は、母ちゃんが蟹を湯がいてくれとるから…一足先に帰るぞ」


「今日は大漁!嫁さんに一本多めにつけてもらおう」


父は、生前、海運会社を退職した後、漁協の組合員の資格を取得し、船を買って魚やイカを取りに行っていた。趣味だったのだが、なかなかの腕前で、結構な所得もあったようだ。その父の船の帰りを母が、いわゆる「妻」が、風呂とお酒、ご飯の用意をして待っている訳だ。

母も生前、父の帰りを待っていた。

家の中にいても父の船のエンジン音は分かるらしく、港へ急いだ。

ガッツポーズする父、嬉しそうに出迎える母…2人の姿を思い出すとバックには、いつも日本海。懐かしい。


父は、母を亡くした時70歳だった。

母が亡き後も、暫く海へ出た。

今度は・・・待ってくれている人はいないのに…

温かいご飯も、お風呂もないのに…


一人で大きなタッパーに白ご飯を詰め、おかずは、漬け物やふりかけ程度で。大好きな海だから…母がいなくなっても船を走らせた。

きっと…声をあげ泣いた日もあっただろう。

この海に…飛び込んでしまおうかと思った日もあっただろう。



真っ暗な沖で、そろそろ港へ帰ろうとしていると、いつも無線から聞こえてくると言う。


「はよぅ帰って、一杯やらんといけん。」

「母ちゃんの・・・ 料理で…」


「今日の飯は… 嫁さんの…。」


心の中で言ったらしい。





「母ちゃんが…みんな…皆んな・・

母ちゃんがいなくならんかなぁ…」

って思った・・・って電話口で泣きながら私に言った。


あの時…私はどんな言葉を返したのだろう。



お父さん…

今…その気持ち100%分かる。

(不適切な言葉の表現をお許し下さい。)

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