夫の死が私の「強み」に…
すっかり日も短くなり、仕事が終わってアパートに帰る頃は薄暗く…
時間給なのでほぼ残業することがない私が帰宅の途に着く頃は、家々の灯りが灯しだす頃・・・で…。
駐車場に車を停め、辺りを見回すと、オレンジ色に見える窓が、仕事を終えた私の心に、安堵感と共に、まだ根強く残っている喪失感を浮き彫りにする。
家を出て、この地に来て3ヶ月過ぎた。
仕事帰りに行きつけにするスーパーも、美味しいパン屋さんも見つけた。時間帯によっては、渋滞する道も分かった。
職場では、「いつも怒っているのか…」っと、つっこみたくなる主任さえ我慢すれば、みんな話しやすくて楽しい人達ばかり。
11人の子ども達は、いつもいつも賑やかで・・・学校から帰って来ると我先に話がしたくて…飛んで来る。それで喧嘩になって…腹を立てて・・あっちに行ったりこっちに行ったり…。
すっかり…とは言わないけれど、私の居場所ができた。
1からでも…いや!
その気になれば0からでも始めることができるものだ。私には運が良いことに近くに娘夫婦がいてくれたので、スムーズに運んだ面もあるだろうが、
人間…その気になれば
やれるもんだ…。
と…つくづく思う。
今も…優しく灯る明かり見て、私自身を振り返る。
確かに、私のこの哀しみが薄れることは、今はないけれど・・
私は、もうこれ以上の「哀しみ」に出会うことはない。
もうこれ以上の絶望の底を見て…そこに立つことはないのだ。
この強みは…「すごいこと」ではないだろうか。