初めての雪が「泪」を誘う。
今日…今年初めての雪を見た。
この冬初めての雪だった。
空は青空だったので、窓の外で白く舞うものを、雪だと認識するには少し時間がかかった。
あの日・・・。
「24時間の余命宣告」を受けた次の日は、日本で一番めでたい日「元旦」で…、その日から急激に寒さが増し例年になく毎日のように雪が降ったことを覚えている。
温かい病室にいるあっちゃんや私達には、窓の外側が凍りつくように寒かろうが…
白く舞う雪が包んでいく木々や街並みが幻想的であろうが…
そんなこと…
どうでもよかった…
雪など目に入っていなかったに違いない。
消えゆきそうなあっちゃんの命…感じてはいたけれど。心の何処かで、そんなことはあるはずがない…と、根拠のない自信のようなものもあった。
私は、しんしんと…
冷たく降る雪を見ている振りをして・・・本当は、
反射して窓ガラスに映るあっちゃんの姿を…
その姿だけをずっと…眺めていた。
一秒でも目を離してしまうと大変な事が起こりそうで・・怖かったから。
雪が止み溶けて無くなるように…
あっちゃんの病も、消えてなくなればいいのに・・と、
見えないように手を合わせいた。
あっちゃんの命が燃え尽きようとしている頃…寒気は徐々に通り過ぎ…
1月20日は、まるで早い春が来たように穏やかな天気だった。その日…静かに天国へ逝ってしまった。
もう…ずっとずっと前のことのように感じる。
まだ…3年・・
もう…3年・・・。