あっちゃんに出会えた!
小倉からの帰り…あっちゃんに会った。
それは、21時9分発の新大阪行きの新幹線の中だった。
3号車の自由席(3人掛け)に座った私は、携帯を片手に真っ黒の窓を眺めていた。
その新幹線は、広島に止まった。
多分…この車両には、10人前後の乗客しかいなかったと思う。
それなのに…
その広島から乗車した男性は、私の座っている3人掛けの通路側の席に腰を下ろした。
「えっ!ここ!?」と・・思ったが、
私に連れがいるわけでもないし、どこに座ろうが本人の自由だし…拒否することはできないので…
真ん中に置いていたバックを膝の上に置き直し、また、何も映らない窓に目を向けていた。
「シュッパッ」缶ビールを開ける音。
以前もよく聞いた。
新幹線に乗っては、
飛行機に乗っては、
「シュッパッ」嬉しそうに開ける。貝柱と竹輪をつまみに…。その顔を見ながら私の心も和む。
「シュッパッ!」響く…
あっちゃんの好きな音。
黒い窓を鏡にして、美味しそうに呑んでいる姿が時折映る。
これが、あっちゃんならば…と・・
思いながら窓ガラスに映る人を間接的に見ていた。
気づかれないように…
その乗客は、福山で降りた。
後ろ姿を見送った。
「飲み過ぎないように…」…と。