鬼嫁④
義父母との関係は徐々に希薄になってきた。
結婚当初から仕事を持ち、別居していたこともあるが…。私の性格にもよるのだろう。以前からそう親密に行き来することはなく、相談なんて一度もしたことがない。一緒に買い物、旅行は、娘がまだ小さい時に数えるほどしかない。
あっちゃんの死後、何もかもに嫌気がさして、これから年老いていく義父母と病気の義弟の事を考えた。
あっちゃんがいるのなら、一緒にお世話をしただろうが・・・
長男の嫁として…
だけど…
一人になった私は・・・
お世話をする為だけにここにいる事に不安を感じた。
不満を感じた。
弁護士(あっちゃんの死後、借金、コンビニ、相続問題が起き、弁護士に依頼していた。)に、それとなく相談をすると、開口一番、「自分の人生を考えた方がいい。婚姻関係を解消することもできる。」って言った。
実家に帰るのもいいが、娘さんの近くに行く事が1番でしょ!と…。
実の両親は、もう他界していた。 実家には戻れない。
姉妹も九州。随分離れている。それぞれの家族がいる。
私は娘夫婦の近くにアパートを借りた。家を離れる時、義父母は止めなかった。むしろ、さとみさんの思うようにするといい…と快く送り出してくれた。
義父母と、あっちゃんがいた時からずっと一つ屋根の下に住んでいたら…
娘夫婦が、もし…家の近くに住んで
いたら…
私が、義父母のことが大好きだったら…
義父母と、まるで娘のような関係になっていたら…
私に全く働く力がなかったら…
多分、相続放棄して自分の家ではなくなったけれど、あの家の後ろにある義父母の家で、暮らしていたかもしれないと思う。
人の距離なんて、なかなか縮まるものではない。
負担にならない、居心地のいい距離感を保っておく方がいい。