絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

聞こえない・・こえ

あたりまえだけど・・・

真っ暗な家に帰って来た。

玄関横のポストに1通の封筒が入っていた。それを握りしめ、鍵を開ける。


ムッとした空気、息苦しささえ感じる。

人の気配は? もちろん感じない。

誰もいないと分かっていても、言ってみる。


「ただいま」・・・


「おかえり」・・・って声が聞こえたらどんなに嬉しいだろう。


今まで何気なく使ってきた言葉だけれど、とても温かい言葉だったんだ・・・と、今更ながら思う。

娘が家を離れてからは、使う頻度も少なくなっていた。


「おかえり」・・・って。

あっちゃんは、コンビニを始めてから、だんだん言わなくなっていったような気がする。


「ただいま」・・・って。


夜中に帰って来たり、まだ日も昇らな い明け方に帰ったり、娘は学校、私は仕事・・・誰もいない家に帰って来たりで、その言葉も徐々に使わなくなってきたのだろう。


もしかしたら・・・、

もしかしたら、

真っ暗な家に入って、小さな声で、

「ただいま」って言っていたのかもしれない。


今の私の様に・・・

「おかえり」と答えてくれる言葉を期待せずに、

「ただいま」って。

どんな声で言っていたのかなあー?


「ただいま」・・・って。

もう少し・・・

聞きたかったなぁ〜

「ただいま」の声。


もう少し言いたかったなぁ〜

「おかえり」・・・って。


私には、もう

「ただいま」もなければ「おかえり」もないのかなあー。


そんな事を思いながら、握りしめた封筒を見た。

裁判所からの郵便だった。

始まった・・・んだ。

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