絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

初めての出会い

夏に行きたくても行けなかった思い出の海へやって来た。

海へ着くなり、私の目に飛び込んできたのは、静かに輝いている夏の終わりの海ではなく、緑と黄色の葉をつけた沢山の桜の木々だった。

その、緑色と黄色のコントラストがとても鮮やかで初々しく見えた。

美しい桃色の桜の季節から、青々とした新緑の季節を経て・・・・・深緑へと・・・・そして今また、新たな季節へと移り過ごそうとしていた。


そうだった。

あっちゃんが20才で私が19才の時だった。

友達の真由美が、

「今日、お見合い・・・」って。

嬉しそうに言って来た。

「そぅ!」

私は関心なさげにそう答えた。


夕方、真由美自身が自分のアパートで、お見合い相手に手料理をご馳走すると聞いた。


真由美は、久美子と言う友達と2人でアパートを借りていた。(私も女友達と2人でアパートに住んでいた)


私は、何を思ったのか・・・その日の夕方、真由美のアパートに行った。ちょっといたずらしてやろうと思ったのだ。


宴も酣の頃を狙って・・・私は勢いよく、しかも思い切り強く、 真由美の部屋のドアをバーンと開けた。

そして、大きな声で、自分の名前を名乗った。それから、

「よろしくお願いします。」・・と会釈をして、

・・・・・・ドアを閉めた。


30秒ぐらいかな!


たった30秒間の出来事だった。


真由美とお見合い相手は二人並んで座っていた。二人のキョトンとした顔を今でもはっきり覚えている。


なんて失礼な・・・

私なんでしょう!

でもそれが、あっちゃんとの初めての出会いだった。


赤色のカーディガンがよく似合ってた。

でも・・・・


少しずつ魔の手は近づき・・・・

入退院を繰り返すようになった頃には、(私はこの時まだ、肝硬変になっている事を知らなかった)あっちゃんの容姿は徐々に変わっていった。

まず、すごく太った。体が浮腫んでいるようだった。

次に、顔色が黒っぽくなっていった。(後々黄疸がひどくなり黄色くも感じられた。)

そして、顔や体に吹出物が沢山出来るようになった。

笑顔が少なくなっていった。


「肝硬変」という病気は、体の機能だけでなく、容姿全体を、顔の表情さえも変えてしまった。


また、泣きたくなった・・・


19才・・

真由美の部屋のドアをさっと閉めた私の頬は、きっとほんのりピンク色になっていただろう。


会いたい・・・・

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