絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

ジングルベルはもう鳴らない・・

窓際にクリスマスツリーを飾る。部屋の明かりを消して、色の付いた小さな豆電球が不規則にならんだ光の飾りに灯を灯すと、暖かい幸せな時間が輝きだす。

カーテンを開けると、窓に反射して部屋中が踊り出す。

そんな12月を、あっちゃんと娘と三人で過ごしてきた。


「今年のプレゼントは何にする?」2人でサンタクロースになり、クリスマスの朝目覚めて喜ぶ娘の顔を見て2人で微笑んでいた。


そのツリーも、今年家を片付ける時に捨てた。


去年まで・・・

コンビニのクリスマスは忙しい。クリスマスケーキに、フライドチキンにポテト・・・の販売。サンタの格好までしてフル活動。

あっちゃんは、日にちが変わってから帰ってくるので、いつも「ひとりクリスマス」だった。


ただ、ケーキは、豊富にあったし豪華だった。

売り上げを上げるために自分で予約したケーキ。予約のケーキは、予約したお客さんが取りに来てくれる。問題は、「店売り」と言って、店頭に並べている沢山のケーキだ。日にちが来れば、廃棄になるケーキだ。そのケーキをあっちゃんが持って帰ってくれる。

だから、予約したケーキに、廃棄のケーキ・・・


ホール食い!


私のお腹の中だけバーティーだ。


今年から・・・本当の本当の

「ひとりクリスマス」になってしまった。

クリスマスだけじゃない。

年間の様々な行事を一人でやり過ごしていかなければならない。

どんな時でも、一番頼りにしていた人がいなくなってしまったから。

一緒に・・互いを労いながらもう少し「共に」時を過ごしたかった。


今年がもうすぐ終わる。

今年・・・の、20日間だけ・・

あっちゃんは生きていたんだ。

女房と便

「お前の顔を見ると、なぁんか・・出そうな気がするんよのぅ。」

昨年末から年を明けて23日間の短い入院生活。

入院中、彼に求められたものは、一日2000mlを超える尿と排便だった。

入院してからは、絶食の毎日が続いていた。飲む水の量も500ml以下と決められ・・それしか口にしていないのに、便なんか出るわけがない・・と、私は思っていた。


しかも、肝性脳症のため昏睡状態から目覚めた時には、5、6本もの点滴に繋がれ、口にするのは、口の渇きを潤すためだけの「霧吹き状の水」だけ。それだけ・・

なのに・・・・大便なんて。

口を大きく開けて、「俺のご飯」と、言って何度も求めた。

たまに、味のある物が飲みたくなるらしく、主治医に言って柚子やレモン味のお茶も、ひと口ふた口・・口にして喜んだ。

尿は出る。

毎日・・・目標に達していた。

でも、便が出ない。


しかし、ついに念願の日が来た。

朝、病室に行くと、私が来るのを心待ちにしていた。私を見るなり、

「大便が出とる。」

私にしか頼めないそうだ。

横に義母もいるし、看護師だっているのに、私が来るまで待っていた。


私を待っていた・・・


「良かったね!良かったね!」綺麗にしてあげるね。って・・・


でも点滴で腫れ上がった身体や足は重たくて、点滴の針は、いたるところにあるし・・・

「あっちゃんごめんね。一人じゃ無理だから看護師さんにも手伝ってもらうね。」

しぶしぶ・・

「おぅ」


それからもう2回ぐらいあったかな。

私にだけ言える言葉。


「お前が綺麗にしてくれ。」って。


私にだけ・・・

ありがとう!

「お前の顔を見ると、大便が出そうな気がする。」

これは、最大にして最愛の褒め言葉だったんだ!


あっちゃんがいなくなって、暫くして、もしかすると・・・手紙とか、日記とか、私宛てに書き遺した物があるのではないかと探した事があった。

しかし、未だに何一つ出てこない。


でも・・・ここにある。(心)

聞こえてきそうな気がする。

優しい声で・・・

「お前の顔を見ると、大便が出そうな気がするんよのぅ・・・。」

生きていた・・

去年の12月・・・

「別れ」のカウントダウンが、突然に、そして静かに始まった。

そう! 12月から始まった。

そして、今年1月20日

あっちゃんとの人生が終わった。

だけど・・・・

生きていた・・・

やっぱりこの場所で・・

あっちゃんがいなくても・・・

思い出に囲まれて・・

たった一人だったけれど・・・

生きてこれた・・・んだ。


泣くことの方が多かった。だけど

大声出して笑うこともあった。


仕事は、できればしたくなかった。だけど誰も養ってくれる人がいないから、頑張るしかなかった。でも仕事をしていて良かったと思うことも確かにあった。


この世の終わりだと・・

思いながら・・

「絶望」・・・を感じ、

周りの人の目を気にしながら、

とても惨めで・・・

いつからか見えない壁が、

できてしまって・・

たまに、

息ができないほど苦しくなって。

それでも、

なんとか生きてきた・・・

なんとか生きてこれた・・


これからも、

生きていけるだろうか。

「会えない日」増えていく中で、

本当の私に戻れるだろうか。