絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

待ち合わせ!

駅前の駐車場は混んでいた。

赤く「満」と記された文字が時々「空」に変わりそれも一瞬で…無情にも「満」に変わる。

私の前に6台の車が待っていた時…

丁度駐車場の看板で日陰になっているところに母ぐらいの年配の女性が心配そうな顔で携帯を持ち、誰かと話をしていのに気づいた。


今の時代はいいなぁと…思った。

昔は待ち合わせをするのは大変だった。知らない場所なら尚更のこと…。

自分の場所さえ分からないし、今相手はどこにいるのか。もしかしたら何らかの理由で遅れているのか…確認の取りようがない。

約束した場所で、ここだと信じて…心細くともキョロキョロしながら待つしかないのだ。


待つ事が大嫌いな私でも…

腹を立てて帰ることもできない。


だって…もし帰ったら、

遅れてでもやって来た待ち人が、また私を探さなけれならない。


だから大概はその場で辛抱強く待つのだ。


その代わり…

待ち人を見つけた時には、それはそれは・・

顔面いっぱいの笑み!

喜びと安心感…!

そして愛おしさで胸がいっぱいになる。愛する人との待ち合わせなら…数倍だ!


どのくらい待たされただろうか。


その女性に目をやると、携帯を少し上に掲げ小刻みに振りながら、今度は嬉しそうに息子らしき人が運転をしている車の後部座席に乗っていった。


会えたんだ!


愛おしい人に!


羨ましいなぁ。

あ!


あっちゃんと待ち合わせ…

し忘れちゃってる!

オムライス…って!?

私がこの4月から勤務している学園は、大きく5つのユニットに分かれている。


私は学齢期(6歳〜18歳)の利用者さんが生活しているユニットに配属されている。ひまわり(男子)となでしこ(女子)ユニットに。

それぞれのユニットのご飯は、食事の度にアルバイト学生が電気ジャーで炊く。毎回ホカホカのご飯が食べられる。

今日はひまわりユニットの勤務だった。ひまわりユニットの主任は男性職員だ。

男性主任が、

「義香さん!オムライス作ってくれませんか?」


「はぁ?」

「卵を沢山もらったんですよ。」


「はぁ…」

「今日は、帰宅中の子がいるため6人分お願いします。」


「は…い」


鶏肉も玉ねぎもない。

それでも作ることにした。


具がないからふりかけを使ってケチャップご飯を作った。そして、1人に2個ずつ卵を割って上手に包んだ。

そして、一人ひとりの卵の上に動物をケチャップで描いてみた。


出来上がりぃ〜


食べ方のわからない中2の男の子がいた。

「うまい!」って…具のないただのケチャップご飯なのに…。口の周りケチャップだらけにして食べている子もいた。

おかわり…って!何度も言って泣いている子も…。

40分ぐらいかけて完食する子…


泣けてきた!


美味しそうに…皆んな!皆んな完食!


オムライスって言うんだよ!

オムライスってなんか幸せ感じるね!


しっかり…しっかり包まれていて!

あったかくて!

オムライスって…「 家族 」みたい!


また!作ってあげたい!


オムライス…。

今度は、具入りで!

私は…独居おばさん!

世間の盆休みも今日で終わりかな?なんて…羨ましくもあり、どうでもいいようでもあり…。


娘夫婦も明日帰って来る。娘婿の実家から…。


私は…と言えば…

今日も仕事で、帰宅したのは21時50分頃だった。いつものように車を降り自分の部屋に向かった。


そして、アパートの全貌が見えた時!

えっ!

私は、

恐ろしいものを見てしまった!


18ある部屋の数。


真っ暗…

どの部屋にも明かりが点いていない!


あ!お盆かっ…!


このアパート…・・・

私…ひ・と・り…?

いつから…?


私はあのアパートに一人だった…?


別に話をする人も、もちろん名前を知る人もいないが、一つ屋根の下に住む仲間である事には違いない。


私の部屋だけ…外に灯を放っていたのか…と考えると、怖いような寂しいような…。


本当の独居老人ならぬ独居おばさんになってしまった。


ここに…ひ・と・り…


おぉ〜 こわっ!