絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

45万(結)

一先ずは、人間…

腹が空いては戦ができぬ!


ケンタッキーのツイスターボックスを2つ買いに行くことにした。


1時までには2時間近くある。なんとかなるだろう!


結論は出ている。既に…

きっぱり断る!これしかないだろう。


でも…開口1番なんて言おうか?

なんか可哀想な気もするし…

顔を見ると言いづらい。

二人で台本を考えながら過ごすことにした。


まだ2時間…ある…。

私は、数日前から気になっていた車のエアコンの点検をしてもらう為に近くのオートバックスへ行った。

点検で30分近くかかった。

その後修理にまた3、40分かかってしまった。

そして、

ケンタッキーのドライブスルーで注文している時、

「私が行って断わって来る」とメールが届く。


「一人で?」


「不意打ち…を狙って…。先手に出る」


カッコイイー!


流石!!あっちゃんの娘!(ヒューヒュー)


若い者には負けるやろ!

しかも、美人ときてる…!(親バカ)


「お母さんは、家に着いても車の中に居て。終わったらメールする。」


なんとも…頼もしいではないか!


ちょうど家に着いた時、メールがきた。


「今から!行く!」と…


落ち着かない…

音を立てずに車から降り、死角で見えない場所まで歩いて行く。


玄関の中には絶対に入らないよう言ったが、連れ込まれたら大変だ。だから相手から見えない所に立ち…そして聞き耳を立てた。大声が聞こえたら直ぐに駆け出そうと最短距離まで近づいた時…

「ごめんなさーい」と…

言う娘の声が聞こえた。


そして…メールが届いた。


「瞬殺…(笑)」

娘に…

悔しいけれど…

「負けた・・・」と感じた長い一日だった。

45万(2話)

「主人に相談します」


久しぶりに口にしたなぁ!

「主人」…だなんて・・・

人に向かって…。


さて…

それからが…娘と2人で・・

13時までに答えを出すと言ったものだから…

誰かを仕立てて一芝居うつか…

きっぱり

「お金がありません」と断るか…


もしかして復讐されたら?・・

等と…

どうするべきが話し合った。

隣のご夫婦には、申し訳ないが…


韓ドラの大好きな私達親子は、少しドラマ染みたストーリーを仕立て…て。


しかし…

あの…本当に困っている姿…

特に奥様の悲しげな顔が…

いつだったか、玄関前の階段に蜘蛛の巣が張っていて。汚れているからと綺麗に掃除してくれたこともあった人達に…少しだけでも力になりたいと…


そんな気持ちもあった。


そこで、


私は、45万円を持って私自身が直接学校に行こうと決めた。先生に手渡そうと考えた。

そして、

「このお金は、一週間だけの立て替え金です。一週間後ご夫婦が学費を持って学校に来た時に返してもらいます。万が一、持って来なかった時は、このお金は返してもらいます。」と、先生に話しに行こうと・・・。決めた。


娘は、ネットで上手なお金の貸し借りの断り方を検索していた。


私は弁護士に電話した。

簡単に事情を話しどうするべきか!


弁護士は言った。


「絶対に貸してはいけない。

名前も知らない人にお金を借りに来るのだから、かなりの借金が考えられるし、沢山の人に声をかけているだろう。お金の貸し借りで近隣トラブルになる事が多くある為、お断りするときっぱりと相手に言いましょう。そして娘さんが住んでいるところが借家ならば、転居を勧める。」等…とアドバイスをくれた。


わぁ〜!


大ごとになりそぅ。


なんか…ワクワクしている…!?

45万 (1話)

ピンポーン

宅急便…!?


今日、長崎のハウステンボスへ行っている姉から、娘あてにミッヒィーの小包が届くようになっているらしく、小走りに玄関へ向かった。


すると…

「お母さんにも聞いて欲しいんだって…」…と・・・


居間にいた私を呼びに来た。


お隣のご夫婦だ。

玄関に二人並んで立っている。


神妙な面持ち…。


ご主人の方は、小太りで短い頭にパーマをかけていて強面・・。奥様の方は、化粧気もなく痩せていて普通の主婦って感じ。

顔を合わせれば、頭を下げ親しげに挨拶をする…見かけと違って愛想があり話しやすいご夫婦だ。しかし、仕事をしている様子はうかがえず・・二人でよく出かけている姿を見かける。

仕事に行っている感じではなく、パチプロ夫婦?…なんて…娘と噂していた。

二人には、高校生くらいの女の子が一人いる。時々車で送っている。不定期な時間帯なので、通信制の高等学校にでも通っているのではないかと思われる。


その夫婦が…

今日は改まって…しかも玄関の中に入り…

姿勢を正し…話し出した。

「娘をご存知だと思いますが、今日中に学校の学費を支払わなければ、学校を辞めなければなりません。」


それが何?


「費用はかき集めることができたのですが・・・そのお金が手元に入るのが8日になるんです。」


じゃあ!学校に待って貰えばいいじゃない!学校よ!教育現場よ!

取り立て屋じゃないんだから…そのくらい待つでしょ!


「しかし、学校は「今日中」に払わないと辞めてもらうと言っています。今まで220万ぐらい払っています。それが、水の泡になってしまうのですよ!」


それで…なんと!


「お金を貸してくれないか」と…お願いに来たのだ。しかも今日の15時までに。


45万円…!

「必ず一週間後に返すし…念書も書きます。隣に住んでいるので逃げも隠れもしない。信じて下さい…」と・・。


断るべき…だとは分かっている。


しかし…NOが言えない。私…。


つい…


つい…!




出てきたのは…


「主人に相談します。」だった。