絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

45万 (1話)

ピンポーン

宅急便…!?


今日、長崎のハウステンボスへ行っている姉から、娘あてにミッヒィーの小包が届くようになっているらしく、小走りに玄関へ向かった。


すると…

「お母さんにも聞いて欲しいんだって…」…と・・・


居間にいた私を呼びに来た。


お隣のご夫婦だ。

玄関に二人並んで立っている。


神妙な面持ち…。


ご主人の方は、小太りで短い頭にパーマをかけていて強面・・。奥様の方は、化粧気もなく痩せていて普通の主婦って感じ。

顔を合わせれば、頭を下げ親しげに挨拶をする…見かけと違って愛想があり話しやすいご夫婦だ。しかし、仕事をしている様子はうかがえず・・二人でよく出かけている姿を見かける。

仕事に行っている感じではなく、パチプロ夫婦?…なんて…娘と噂していた。

二人には、高校生くらいの女の子が一人いる。時々車で送っている。不定期な時間帯なので、通信制の高等学校にでも通っているのではないかと思われる。


その夫婦が…

今日は改まって…しかも玄関の中に入り…

姿勢を正し…話し出した。

「娘をご存知だと思いますが、今日中に学校の学費を支払わなければ、学校を辞めなければなりません。」


それが何?


「費用はかき集めることができたのですが・・・そのお金が手元に入るのが8日になるんです。」


じゃあ!学校に待って貰えばいいじゃない!学校よ!教育現場よ!

取り立て屋じゃないんだから…そのくらい待つでしょ!


「しかし、学校は「今日中」に払わないと辞めてもらうと言っています。今まで220万ぐらい払っています。それが、水の泡になってしまうのですよ!」


それで…なんと!


「お金を貸してくれないか」と…お願いに来たのだ。しかも今日の15時までに。


45万円…!

「必ず一週間後に返すし…念書も書きます。隣に住んでいるので逃げも隠れもしない。信じて下さい…」と・・。


断るべき…だとは分かっている。


しかし…NOが言えない。私…。


つい…


つい…!




出てきたのは…


「主人に相談します。」だった。

健康診断

自分の「意識・自己管理力テスト」を受けに行った。


かかりつけの病院へ行った。

Dr.がフレンドリーだから、体重を1、2kg。腹囲を2、3㎝減して記録してもらおうと・・ずるい魂胆があった。


しかし…

それが…全ての失敗だった。

全ての誤りで・・あった。


悪いことをしてやろうと思うと、心臓がドキドキするものだ。


昨日は丸一日絶食した。もちろん体重を減らす為だ。水分も必要以上摂らなかった。病院へ行く直前には、体中の水分を全て出した!

もちろん!体重を減らす為だ。


病院へ着くと直ぐに検尿。出るはずがないが出さない訳にはいかない。検査ですから…。

尿から「お疲れモード」のサインが出ていたらしく…

しきりに看護師が、

「義香さん…お疲れですか?」を連発してくる。

ドキドキ…


様々な検査の後、Dr.を目の前に血圧測定。こっちは、いつ…あのお願いをしようか緊張している。


「体重と腹囲を少し…ばかり減らして書いて欲しいのですが…。」

だからやっぱり…ドキドキ…

Dr.が4回も計測してくれたのに、通常の血圧より、20〜30高い。


結果!ほとんどの数値がいつもの私の健康状態ではなかった。(血液検査は違うだろうが…)


健康診断を受けたものの…

納得がいかない…。

それなのに、受け付けで12640円も払った。


すごく損をした気分になった。


だけど・・・

今日から…

健康診断!健康診断!って言われなくて済むし、少しの間ひかえていた間食も解禁になったし…

高い「解放感料」を支払ったことにしよう!っと諦めた。


明日は、美味しいランチを食べに行こっと…!


私の自己管理力…0でした!

空からのプレゼント

施設の夏祭りがあった。


真っ暗な空に…綺麗な大輪の花火が上がり・・散った。


花火…

空に打ち上がる花火…


あっちゃんが死んだ年の夏…


花火が格別好きな訳ではないが、近辺で開催される花火大会を探して娘と二人で見に行った。


花火が打ち上がる毎に…

あっちゃんに届け!!っとばかりに見上げた。

空いっぱいが、あっちゃんの顔のように見えたから。

そして、感じた…。


大輪が開く前の…

真っ暗な空が彩られる前の…

「ドン!」と鳴り響くその音が・・

空から送られてくる…その振動が…私の心臓に響き、見えない空との「繋がり」のように…

感じた…。

花火を見ながら自然に涙がこぼれた。

あっちゃんがいない初めての夏だった。

しかし…

夏が過ぎ、冬が来て…

そしてまた花火の季節になる頃には…

1年の間に・・・

私の心の中から、いろいろなものが一つずつ消えて失くなっていた。花火のように…。

私の心には花火は、似合わなくなっていた。


祭りには行かない。

花火も見ない。


次の年も…

その次の年も…そうした。


今年…間近で花火を見た。


皆んな…見上げていた。


皆んな…微笑んでいた。


私も利用者の肩に手をやり、「綺麗ね!」と…見ていた。


あっちゃんに届け!ではなく…


私への贈り物のように感じた。