絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

私の夢

貴女の夢は何ですか?

・・・って聞かれた。


「女優になること!」と即座に答えた。


私の定番の回答だった。今でも…そう答える。私がこの街に来て直ぐに始めた事は、家賃分だけでも稼ごうと勤務先を見つけることだった。職場にも少し慣れ、余裕ができた頃次の行動に出た。

習い事を始める。

どうせ習い事をするなら、以前から興味があったミュージカル。歌や芝居がしてみたいと思い地域の劇団を見学し、次の週の日曜日には、入団の手続きを済ませた。


これで、主人との死別後も、仕事・趣味・家族(近くに娘夫婦)と、私の人生はそれなりに潤うはずだった。


しかし、昨年の春…立て続けに哀しい出来事が起きる。1ヶ月の間に…。

最後は、娘婿の母親の死だった。

ショックだった。

自宅に一人でいた為、発見された時には、洗面所で倒れていたらしい。脳梗塞。58歳だった。


私は、何故か自分の人生を恨んだ。


2人(娘と娘婿)のかけがえのない家族の大切な大切な親を…

娘は父親を、

娘婿は母親を早くに亡くしたことを、私に起こっている負のスパイラルのように感じた。


そんな時、

笑顔で歌ったり踊ったり…そんな気持ちが薄れていった。やる気がなくなった。


いやいや!それは言い訳かもしれない。毎週日曜日の6、7時間のレッスン。足腰が痛くなるダンスに…ついていけない!

いつもの怠け癖が出たのだろう。


いずれにせよ…

お母様の葬儀が終わって、その週の日曜日に「しばらく…休みます・・」と団長に申し出た。

それから1ヶ月…2ヶ月・・・伸ばし伸ばしに…休んだ。

職場もそうだ。

ここへ来てせっかく見つけた仕事場。仕事内容にも慣れ、気の合う職員とも出会えた。しかし今年4月から職場が変わり、また0からのスタート。

慣れない上に不満続出。

何でも話せる仲間もできていないうちに5月中旬から長期休暇(7月から復帰予定)と…今に至る。


仕事に趣味…

潤うはずだった。

生きているだけではつまらないもの。


感じなくては…。

喜びと感動を。

毎日ではなくても…いいから。

心が動く…日がある生活をしなくては…とまた今…焦っている。


この熱い夏…また新たな試練が始まろうとしている。

崩れはじめた私の人生

いつも後悔することは、

主人が会社を辞めて起業したいと言った時…

私はすんなりと…

「いいよ…」って答えたこと…。


そして、手始めにコンビニを始めることになる。


高校、大学への進学、就職等…私達の考えを先ずは優先させてくれた。

したいように…

進みたいところへ…

生きたいように…

私達の意思を尊重してくれた母だった。

結婚にしても…然りだ。私達三姉妹は恋愛結婚。それぞれの進学先や職場で伴侶となる相手を見つけた。


父も母も、貴女達が見つけた相手だから間違いはないだろう…と直ぐに許してくれた。

その母が、主人のコンビニ経営の話をした時には、反対の気持ちを示した。もちろん会社を辞め、自分の人生の軌道修正に躍起になっていた主人には、「母ならこそ…の優しい抵抗」は、全くと言っていいほど見えていなかった。


母はわかっていたのだ。


その決断が不幸を招くことを…。


母は、コンビニがオープンする2ヶ月前にこの世を去った。見たくなかったのだろう。これから始まる娘夫婦の苦労を…。


私の哀しむ姿を見たくなかったんだと思う。


大失敗…

取り返しのつかない「いいよ」発言

そこから…崩れていったんだ…

答えは…あいしてる⁈

「待っていてくれ…」

10番診察室の前で…。

この日から3日後、主人は肝性脳症の症状である昏睡状態に入る。


実はこの日の二日前に、


と…だけのメールが届いた。

(ゴンとは、彼が私につけたニックネーム。私がジュゴンのように何でも根こそぎ食べ、大きな体で我が物顔に生きている…姿がジュゴンのようで。そのジュゴンの「ゴン」をとっもの)


私を呼ぶ時

「ゴーン」と。


私も

「はーい」と答えていた。


この後…何が言いたかったのだろう…と、携帯のアルバムの中からこの写メを見ては今でも考える。

実は、このメールが届く前日に私は泣き泣き主人に、主治医より12月31日に「24時間の余命宣告」があった事…を話した。


「死」を覚悟していた事を話した。

葬儀屋さんはどこにするか義父母と話していた事を…話したのである。


哀しくて…悔しくて…

でも…その時は・・・

息をしている貴方のことが嬉しくてしかたなくて…。


もちろん!!話すからには、

死の宣告を受けながら、元気にしている主人に対して、「死」は回避されたと信じたから…。

「生きる」と信じたからだ。

生き続けると思ったからだ。


だから・・・話した。


「ゴン…」

この後…何が伝えたかったのだろう…と、よく考える。


今更…聞けやしないし…。


その答えが見つからないから…


私は今でも、10番の前で座って待っているのかもしれない。主人が診察室から出てくるのを…待っている。

主人が、私に言ってくれる言葉を待っている。


聞きたいよ…


ゴン…のつづき・・・が…。