絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

最大の裏切り

葬儀会場を知らせる白い看板。そこに、あっちゃんの名前が書いてあった。



会葬御礼の葉書の 喪主の欄に、私の名前が印刷してあった。

わたしは、この二つの冷酷な、人の気持ちも考えない薄情な代物に、あっちゃんの死を確信させられた。


体の周りに、ドライアイスが置いてあって、そこで寝ているあっちゃんを見ても、棺桶の中にいるあっちゃんを見ても

あっちゃんの死を受け入れられずにいた。


文字の力は、すごいと思った。目と脳と心に入ってくる。


本当に、本当に、

あっちゃんは、死んだんだ。



お通夜、告別式も終わった。

みんなが、てんでに帰っていく。寂しくなった。


毎日泣いた。遺影を抱いて・・

あっちゃん(遺骨)を抱いて・・・


泣き疲れて眠りについていた。


告別式が終わって、1週間が過ぎた頃たくさんの仕事があることを思い出した。


これから、私一人の生活が始まる。

いやだなあー!

あっちゃんがいないなんて。

一人?生きていけるかなあー?


まあ、とにかく、

水道、ガス、電気に電話をどうにかしなくっちゃ!

そして、自動車の名義変更しなくちゃ。

それから、コンビ二は、どうなるんだろう?


不安だらけ・・・・全く何から手をつけていいのかわからない。


まずは、ライフラインだろうと思い、銀行に行って手続きをした。車も名義変更した。

コンビニは、本社から二人の人が来てくれて、「合意解約」することになった。(しかし、後でいろいろな問題がでてくる。)


そこで、私は、コンビニの毎日の売り上げを払い込んでいたもう一つの銀行に電話し、通帳解約をお願いしようと思った。


ただ、通帳の解約を、それだけをするつもりだった。ただそれだけのつもり。

すると、

「お話したいことがあるのでお伺い

します。」


「はい。わかりました。お待ちしてお

ります。」


少し、不思議に思ったが、あっちゃんの葬儀前にわざわざ家に訪ねてくれて、若い男性の担当者だったが、涙を流してあっちゃんの死を悼んで下さった。きっと深い思い入れがあるのだろうと、大して気にもせず、その日を迎えた。今でも、覚えている。


今年の2月3日。あっちゃんが死んで、14日。(ふた七日)


私の人生感が変わった日!


全く知らなかった。


どうしたらいいのよー。

教えてよ!あっちゃん!


あんまりよ。


最大の裏切り・・・!


大好きなあっちゃんに


裏切られた!

どうしたら・・・・いいのよー!

きいろい 涙

その晩は、早く眠りについた。

明日からの久しぶりの仕事に、身が引き締まる思いもしていた。あっちゃんが、安定していると思っていたから、仕事が終わったら、あっちゃんの所へ飛んで行こうと、ワクワクさえしてた。


仕事をし始めて、3時間過ぎた頃、事務員さんが走って私の所にやって来た。よく見れば、片手に電話機の子機をもっいる。

「娘さんから電話。」


心臓が高鳴った。息苦しく感じた。


「お母さん、何時頃帰れる?今どうこうなるわけじゃないけど、お父さん、ちょっとしんどそうやから、3時ぐらいまでには、病院へ来てね。」と、言って切れた。


足が震える。手さえも・・・・

一生懸命に、電話の内容を上司に知らせ、病院へ駆けつけた。車をとばした。


40分、今日は職場からだから、50分の道のり。すれ違う車、通り過ぎる人達。

季節は、冬真っ只中だけど、2月に入ってから、春を思わせるくらい日差しが暖かかった。


その光が、やけに目に入ってきて涙を誘う。何故涙が出るんだろう。

「絶望」にも、値するこの気持ちに押し潰されそうだった。

後から、後から・・・涙が出た。


病室に入った。

普段より、上半身を傾け(起き上がっている状態)その両脇には、娘と義母がいて、しきりに、声を掛け、背中や腕を撫でている。


一目見て・・・・分かった。


「私を待ってくれていた。」って。

「あっちゃん」と、言って抱きついた。

「あー」

「あー・・・」

と、一生懸命声を出している。

肩で息をしている。


「あっちゃん。来たよ。しんどいね。

だけど、私のために、もう少し頑張っ てね。」


あっちゃんの血圧、呼吸数、脈拍数、心拍数、酸素濃度は、全部コンピューターに数字として表されている。その見方は、ここ1週間でマスターした。


まだ、大丈夫。あっちゃん頑張ってるから。しかし、心拍数が140も150にもなる。

「苦しいのかねー」と、心配になる。


だんだんあっちゃん定番の声

「あー」が、弱々しくなってきた。

呼吸の、仕方も弱々しく・・・


心拍数も少なくなっている。100を切る。だんだん少なくなっていく。


その時、


「あっちゃん、!目を、目を開けて!」

と、叫んだ。

あっちゃんは、大きな大きな目を、カッと見開いて、確かに私を見た。

「あっちゃん、ありがとう。ありがと

う。大好きやった。ありがとう。」と、何度も何度も言った。


娘も、義父母も、思い思いのことを消え逝こうとしているあっちゃんの心に届けとばかりに口にした。


泣きながら・・・


カッと見開いた目は、手で閉じようとしてもなかなか閉じなかった。まだまだ

家族の顔を、見ていたかったんだろう。まだまだ、愛している人達との別れを望んでいなかったんだろう。


あっちゃんの大きな目から涙が出た。


それは、それは、見たことのない

黄色い 涙 だった。


残酷だ。


優しくて、面白くて・・・・

人が大好きで、お酒が好きで、

働き者で、文句なんか一つも言 わず一生懸命頑張ったあっちゃんが、

今、私たちに、さよならを、しかも永遠のわかれを告げようとしていた。


心拍数がゼロに、なった。


血圧がゼロになった。


あっちゃんは、


死んでしまった。


入院してから、ほぼずっとつけていた友達一号は、空だったことに気づいた。今日は、全く尿が出ていなかった。


復活くんも、外された。