絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

中心点と円周

 円を描くには、絶対に動いてはいけない、微動だにしない「中心点」がいる。


 その中心点から、ピンと張った糸をピンと張った状態で動かすと、綺麗なが描ける。


 2つの「点」が創り出す美しい円周だ。
 
 まるで…夫婦のように・・・。


 私が中心点だったのか…
 中心点は主人だったのか…それは分からないが、その中心点は絶対に動いてはいけなかったのだ。


 しかし、生きていると…
 その「軸」となる強固なまでの「中心点」が、ぐらつくことがある。
 動いてはいけないはずなのに…
 中心点のあそびの部分で止まっていればよいが…
 そのうち目に見えなかったズレが徐々に・・・歪みを見せ始める。
 
 引いてみたり緩めてみたりするが、一度大きくリズムを崩してしまうとなかなか綺麗に描けない。
 少しずつ何か分からない力も加わり始める。
 二つの点の呼吸が合わなくなるのだ。
 進み方にズレが生じると、もうが描けなくなるのだ。
 それにいち早く気づき、相手を思いやり歩くスピードを加減したり、思い切って休んだりしなければ… 
 二つの点を繋いでいる糸は切れてしまう。


 私の心にいつしか芽生え始めた…
 不満…
 不安…
 得体の知れない恐怖みたいな。 
 同じような日常を過ごしているにも関わらず、
 私の心に積もっていく黒い影があった。
 
 仲の良い夫婦だった。
 漫才でもしているかのような、笑いの絶えない友達夫婦だった。
 
 どこに行くにも一緒だった。
 楽しみも共有していた。
 主人のことなら何でも知っていると思っていた。
 互いに尊重しているはずだった。
 話さないこと、秘密はあるだろうけれど、大きな「隠し事」はできない人だと思っていた。


 それが・・・
 それが…
 違っていた…。
 
 それでも、まだ2つの「点」がどうにか向かい合い、お互いを思い「合わせよう」と努力すれば、軌道修正できたかもしれない。


 何年かかっても、円周が綺麗に描けるような、少しずつ回復する道はなかったのだろうか。何も死ななくても…
 
 最悪な形で…
 糸が、
 はじけて…
 飛んでいってしまった。
 
 
 私が「中心点」だったのかっ…
 もう、綺麗なは描けない。

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