散る桜こそ意味がある
雨がようやく止んだ。
桜が咲く頃に降る雨は恨めしい。
1年待って…やっと咲いた桜の花びらを…美しくも可愛らしい小さな花びらを…一瞬にして散らしてしまう雨が…。
恨めしかった・・けれど…。
あれから3回目の春を迎えた。
毎年…桜が満開になる頃は、お互いに忙しくて…桜の木の下でお弁当を広げてお花見を楽しんだのも、娘が小学生の頃までだっただろう。
いずれ…桜を見に散歩したり、 曜日を気にせず旅行したり、共に楽しめる時が来ることが『あたりまえ』のようにあると思っていた。
いずれ…二人でそんな時間をもてるだろうと信じて疑わなかった。
毎年毎年…必ず咲く桜
毎年…毎年定期的に行われる公演「いつか行こう」と…思っていた。
「いつか見よう」と…思っていた。
しかし、
「その時…」を失くしてしまった。
もう…永遠にこない。
二人肩を並べて歩くことが永遠にできなくなってしまった。
後回しにしたことは、結局…出来ずに終わってしまうことが多いと、既に学んでいたはずなのに…
取り返しのつかない失敗をしてしまった。
あの日から…
散る桜の花びらを見る方が
好きになった。
