桜と涙
家族がいっぱいいる。
笑顔がたくさんある。
若い夫婦に可愛いあかちゃん、
学校があるはずなのに、制服を着た高校生のカップルが、
ひときわ笑い声の大きい奥様グループに、
白髪のおじいさんにおばあさん…
桜の花を前にしては、誰しも幸せそうに見える。
桜の花は、幸せの象徴かもしれない。
ピンクの薄い花びらの色が優しさを、
固まって咲き誇る花のさまに…温かさを、
風が吹くたびに、ひとひら…ひとひら散る花びらに優雅さを、
散った花びらが創り出す地面の自然絵にも感動する。
桜を見上げて誰が涙しようものか…
私ぐらいであろう。
この花を、もうけして見ることができないことへの哀しさを思い…
花の匂いも…木々の隙間から漏れる光の温かさも感じることができない虚しさを思い…
桜が美しければ…美しいほど
桜を見ていると…
1人である寂しさを感じずにはいられない…
だから…
真っ青な空に、映える桜を見上げると眩し過ぎてか・・・
涙がこぼれてしまう。
