あいしてる
寝返りができないほど…腕もお腹も足も・・・体全体がパンパンに腫れ上がり、足と手には毎日5,6本の点滴がぶら下がり…
6日間の昏睡状態が続いていた。
病室のドアを開ける度に、目覚めているあっちゃんを想像した。
「あっちゃん…起きたかね。」って言いながら…期待して・・ゆっくりドアを開いた。あっちゃんは眠っていた。そんな毎日…だった。
もちろん…「愛」の力であっても、病気は治せないと分かっていた。しかし「愛」の力で、寿命は延ばせるのではないだろうかと、微かな期待をしていた。
昏睡状態から7日目。
アミノレバンが効いた。
意識があるのかないのか…分からない状態でも、あっちゃんの耳はよく聞こえているようだった。
常に病室で流していた永ちゃんの曲に反応し、口を動かしたり、声に出して少しだけ歌ったりするようになった。そんな時のことだった。
私は、携帯を構え、録画ボタンを押して、
「あっちゃん…愛してる。」って言って!
「あいしてる」って…言ってみて!と、何度も耳元で言った。
すると・・
「さ と み・・あ い し て る…」
ゆっくり
一字…ひと文字・・呼吸するかの様に…ひとつひとつ…。
私が勝手に言わせた…
やっと言わせた…
「あいしてる」…だけれど。
その時の動画の声が、今私の宝物になっている。
生きている時にもっともっと…無理にでも…言わせとけばよかった…。
「あいしてる」って…。
