眠らない夜
昨日は宿直だった。
宿直は、朝8時半から翌日の10時までの勤務になる。
私はこの勤務時間が、嫌いではない。
スタッフルームの狭い場所に布団を敷く。敷布団は、薄っぺらのせんべい布団。毛布の肌触りは最悪。掛け布団も重いのに、暖かくない。
お風呂にも入れない。
だけど、シャワーを浴びることはできる。夏ならともかくあったかい湯船に浸かりたいが…そんなことは言ってられない。
しかも、12時の見回りが済んでから。
そそくさと浴びて、長く薄暗い廊下を歩いてスタッフルームへ行く。古びた床が、踏み込む足のリズムに合わせて、不気味に響く。
スタッフルームに入ると、今日の日誌を読み、書き、必要な事はケース記録に残す。そうこうしていると、夜中の3時を回っている。気がつけば、「眠たい」峠はすでに越え「今日で、ここに来て3度目の徹夜かな。」なんて思いながら、薄っぺらな布団に寝そべってみる。
この静けさの中、
パソコンの光だけが届く天井をながめていると、
私は今、あっちゃんのことを全く考えていないことに気づく。
私は今、絶望のどん底にいることさえも忘れている。
ここにいる時だけ…胸がぎゅーんと、泣くこともない。
ここにいると、ただの元気な…しかも口うるさい、お節介おばさんとして…過ごしている。
だから、ここにいる時間は、嫌いになれないのかも。
安心して眠っている子ども達がここにいる。それがいい。
