追憶⑤多重人格者 (再投稿)
「お前は四重人格やからのっ」って、私のことを言っていた。
自分でもそう思っていた。「多重人格者」だと。
まず、職場の私。
自分で言うのも恥ずかしいが、「真面目・働き者・熱血」
主演女優賞にでも輝きそうなほど、職場の中ではそのイメージが定着している。
次に友達や姉妹といる時の私。
「吉本に入ったらいいんじゃない!」と、言われるぐらい、ひょうきん者で、賑やかなのが大好き。仕切りたがり屋で目立ちたがり・・泣いたり笑ったり本当に忙しい・・・・
それから、義父母の前の私!
比較的落ち着きのある賢そうな?母、妻を演じている。同じ敷地にあるにもかかわらず、義父母の家に行く時は、必ず化粧をして行く。服も着替える。・・・だから疲れる。土日、化粧もせず、ボーと過ごしたい時は、義父母の家には、けして近づかない。
愛想のない取っ付きにくい嫁だ。
鬼嫁だった⁈
最後に大好きな家族三人でいる時の私・・・自由奔放、自己中、好き勝手、やりたい放題、ぐーたら、毒舌・・・・でも、でも、本当の私は、相撲部屋かと思うぐらい料理を作ったり、上沼恵美子さんにも負けないトークをしたり、底抜けに明るくて、感激屋で涙もろくて・・・結構可愛らしいのではないかと思っている。
そんな私のことを愛してくれたあっちゃんは、私が、怒っている時イライラしている時には、
「今、源(げん)さんが出てきとるんよの」と・・・・言って笑った。
源さんは、男だった。
源さんは、わがままだった。
源さんは、自分の考えを曲げず、相手を罵倒することもあった。
源さんは、元気で強かった。
源さんは、自分が正しいと言い張った。
「はい。はい。源さん・・
わかりました!」と・・・
私である源さんに付き合ってくれた。
でも、
今は、私の中の源さんは出てこない。
相手をしてくれる人がいないから。
今は、
倒れそうでくじけそうな・・・ 弱い自分と・・
問題山積の状態でも 、
「どうにかしてやろう」と、気持ちを奮い立たせている自分・・・が、毎日の生活の中で入り乱れている。
涙と怒りの・・・まさに二重人格。
威勢の良い源さん!
もう一度会いたいな。
