死別後私が一番大事にしたもの…
主人が亡くなったのは…
娘の挙式を終え、約3ヶ月が経った時だった。
初めての新婚夫婦揃っての里帰りは、主人の緊急入院で叶わず…。
病室だった。
私は病院へ泊まり込んでいた。
娘にとっての結婚は、親元からの別れだけでなく…もう一つ深い哀しみ「別れ」も加味していた。
主人の死後…
「娘さんの花嫁姿が見られてよかったねぇ。」なんて…
そんな言葉を・・・
平気で口にする人もいた。
なんと…浅はかな・・・
考えのない冷たい言葉を平気で吐くことができるのだろうと思ったが…
「はい」とだけ返した。
つまり…
主人が他界した時には、もう私は、
子育てを終え・・・
これから本当なら…夫婦二人の人生を謳歌できる時期であった訳だ。
私は誰にも何にも…縛られることなく自由に第二⁉︎第三⁉︎の人を歩いてゆける環境を手にしたばかりだった。
育児も終わり…
一人娘も嫁がせ…
親の務めのほとんどが終わっていた。
しかし、人生とは…そう甘くない!
私は、自由が許されたばかりに、「主人との死別」「孤独生活」に埋没してしまうのである。
仕事さえ真面目にやり切ればその後は、残り「全部」の時間を主人が死んだことを嘆き、哀しみ、悔やんでは泣くことに…良くも悪くも…費やすことができるのだ。
それでも2、3年は仕事に没頭した。随分気が紛れたのも事実だ。
そのうち…家に帰ると「もぬけの空」で、愛すべき人達がいない居場所に段々と嫌気がさした。
「何の為にここにいるのだろう」
「主人がいないのに私がこの家を守る必要があるのか!」
「家族がいないここで…ずっと一人で生きるのか!」
「私のこれからは…一人で義父母のお世話なのか…!」
なんて…
考えるようになってしまった。
主人が逝った…時!
その時の「私の一番」が何かで・・
私の人生が大きく変わった…。
その時、
私の一番は「娘」ではなく…
「私」だった。
