鯉のぼりのように…
何が…
こんなに哀しいのだろう…
どうして…
いつまでも涙が出るのだろう…
何故…
こうなったのだろう…
結婚して、新婚気分を味わうこともなく直ぐに緊急入院。
そして闘病生活…が始まった。
不安な気持ちでの付き添い生活。
永遠の別れが待っているなんて…思いもしないで…
しかし、
情け容赦なく…最悪な現実に娘は直面した。
娘と私…
それでも…それぞれに・・歩んだ。
夫の死後浮上した借金問題や相続問題、コンビニの契約問題に…頭を抱え、弁護士に相談していた頃…
季節は冬から春になり始め、青い空には、鯉のぼりにが泳いでいた。
主人を亡くした年…
娘は…しばらく私と一緒にいてくれた。
娘と二人スーパーに買い物へ…
エスカレーターを上っている時…スーパー内に鳴り響く子どもの声の「鯉のぼり」…の歌…
いつもなら…一緒に口ずさむのだが…
♪屋根より高い 鯉のぼり〜
大きい真鯉は お父さん〜
と・・流れてきた。
「♪お父さん」…と言葉が切れた瞬間・・・ひと呼吸も入れずに…
娘が吐いた。
「死んだし・・・」
その絶妙なタイミングに…
何故か・・・笑ってしまった。
そして泣いていた。
笑って泣いた…泣き笑い…。
今年から…この子のお父さんは永遠にいないのか…っと思った。
「お父さん…」と呼ぶことない人生…を送らなければならないのか…と。
人ごとの様に…可哀想だと思った。
二人肩を抱き歩くことも…
膝を突き合わせ食事することも…
これから先…一生・・・
「お父さん」と会えない…のか…
哀しみ…も
出てくる涙も…
幸せを知っているからで…
愛する人から受けた優しさを知ってるから…だ。
父とはしゃぎ、楽しそうに笑っている娘の顔を覚えているからだ。
大空にたなびく鯉のぼり…
大きな口を開き、新鮮な空気を呑み込み堂々と泳ぐ。
娘も…
両手を大きく開き、愛する人達を包み込み、新しい家族と笑顔いっぱいに誰よりも幸せに…
堂々と…過ごしてほしい。
堂々と…胸を張って・・・
