店に着いた。静かに降りようとする彼の背中に向かって、
「頑張ってね。」と、一言。
あっちゃんは、知っていたのかもしれない。この時・・・・既に。
私は、気になりながらも、家に向かって車を走らせた。
それから、一時間半後、携帯が鳴った。エグザイルの道・・・聞き慣れた着信音。
あっちゃんだ‼️
「腹が痛い。迎えに来てほしい。」
腹を抱え、下を向いて歩きづらそうに近づいて来て、いつもの指定席にゆっくり腰を下ろした。
何かが違う。
そして、突然!
「うっ」
車の窓を開け、唾を吐き出す音。
「うっ」
うす暗い車の中。
震えているように感じる彼の体。
うす暗い車の中
真っ白いマスクに滲む濃い液体の跡。
彼の口から、まるで噴水のように出てきたものは、血だと直ぐに確信した。
私は、たった今・・・・
信じられない光景を、見た。
私には、今・・・・
大変な事が、起きている。
と、いう事実を理解できないまま、ただただ、病院へ向かった。
うす暗い車の中
寒かった。
怖かった。
悲しかった。
でも、何故か、悔しかった。
バックミラーに映るあっちゃんが、とてもとても、遠くに感じた。
手を差し伸べれは、そこにいるのに・・
もう、私が心から愛したあっちゃんではないかのように・・・・感じた。
冷たい空気が、流れていた。
あっちゃんは、知っていたのだろう。こういう状態にありながも、
「家に帰って寝とけば治る。」
病院へ向かう車から、降りようとさえする。
「家に帰りたい。」
ごめんね。あっちゃん。
救急病院へ着いた。
処置ができない。
何故!こんなに医学は進歩しているのに・・・。
非情❗️
受入拒否❗️
たらい回し❗️
結局、受け入れてくれたのは、いつもの病院だった。
その日の内に、緊急入院することになった。
あのうす暗い車の中で感じたものはなんだったのだろう。
私が一番の理解者だと思っていた。
私には、何でも話してくれるだろうと、いやいや、「話してくれているだろう」と、思っていた。仕事の事も、体の事も。嬉しい事も悲しい事も。
でも、間違っていた。
私には、全く・・・・・何一つ話してくれていなかった。
いつもいつも、
「大丈夫。心配すんな。」
嘘嘘・・・嘘❗️ 大嘘やーん❗️❗️
あのうす暗い車の中で感じたものは、諦めにも似た・・・・彼からの冷たい愛だったのかもしれない。
覚悟した 裏切り行為‼️