絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

一億二千万

「俺が死んだら…一億二千万入る。だけど…お前にはやらん!

全額…福祉団体に寄付する。」


まあ…ご立派なお考えで・・・。

弟のこともあるし…コンビニを始める前は、社会福祉士として施設で働いていたし…

全く本気には…していなかった。

ただ…

「お前にはやらん!」・・・

その言葉に…少しひっかかってはいたように思う。


時々…忘れかけた頃…

そう言っていた。


8月になって長い夏休みをもらった私は、娘となっちゃんを迎えにいくために高速に乗った。

見慣れた風景にあっちゃんの面影を重ねていた。2年前の夏は2人で何度も見た景色だった。

あっちゃんは、遠出をする時には、助手席に座った。

「そこ右…。」

「もう2Kmぐらい走ると四車線になるから気を付けろ。」

ナビゲータだった。


目的のインターを下りると、二人で…「ヤッター!」と声を出し、右手を挙げて合わせる。


そんな光景を思い出しながら…進んでいた。すると、

ふと…

「俺が死んだら、一億二千万入る。お前にはやらん。全部寄付する。」

何度もそう私に言っていた事を思い出した。

「本当に…一億二千万?」

「おぅ。」


本気にはしていなかった。

でも…時々そう言った…。

だから…少し本気にした。


分かっていたのだろうか…。

自分の命の期限を…


最期まで借金していた事を秘密にした人だから…仕方ないけれど、「お前にはやらん」とか、「寄付する」とか…そんな冗談のような言い方じゃなくて、もっと別の言葉で伝えるべき大切な事だったのではないか。

今更だけれど…そんなことを考えながら…運転していた。

哀しくなって…惨めになって…泣けてきた。

随分前から言っていた。

何故だろう。


やっぱり気づいていたのかもしれない。

自分の命の長さを…。

感じていたのかも…。


また・・涙が落ちた。

「寄付する」とは、

「それで借金を返せ。」という事だったのか。


もちろん・・・・

一億二千万は…嘘だった。

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