三日月
夜見る月と違って…
三日月が…
朝、空にあった。
真っ暗な空に。
星もない空にくっきりとあった。
それはまるで黒い色画用紙を切り取って作った切り絵のようにも見えた。
墨汁の中に金色の折り紙を落とし浮かべたようにも・・・
私は足を止め、
その三日月を下から仰いだ。
冷たい空気が、三日月をより鮮明に、そして美しくしていた。
そんな美しく三日月を見てたら…
哀しくなった。
私は何をやってんだろう…。
こんなところで…
こんな朝っぱらから…
月は夜に見るものではないのか!
月を朝見るなんて…って…その現実に朝っぱら涙が出た。
今度から朝は下を向いて歩こうと思った。
月は…やっぱり夜だ!