絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

愛しているから・・・・

片付けても・・・・

片付けても・・・・

後から、後から出てくる。


ゴミと言えば、ゴミの様な・・・何とも、捨てがたい大切なゴミが。


21×2+13=55

今年の誕生日が来たら、あっちゃんは55歳。彼の年齢と同じ数。

たわいもない、偶然の一致にもかかわらず、 思わずこの数の不思議に頬が緩む。

人間には決められた「定め」があるかのようにも感じる。

緊急入院や突然の死、そして、多額の借金の発覚。突然降りかかってきた絶望の雨?・・・・も、決められていたことなのだろうか。


私は、何もかも予測していなかったことに、「 あっちゃんの裏切り」を感じていた。


でも、こうして、3人で暮らしたこの家に、「さよなら」しながら片付けていると・・・、

娘が保育所に通っていた頃の絵や鞄が出てくる。思わず胸に当て・・・

泣いてしまう。

「あれ?

これは泣くところじゃないだろ?」って、独り言。


バービー人形の頭はハゲ頭・・・・

思わず、笑ってしまう。

日記帳に、ノート・・・・自作の漫画や小説まで。手を止め、夢中で読む。泣いたり可笑しくなったり結構忙しい。


そして、そっとあっちゃんのタンスを開けてみる。「止めた」と、言って閉める。


昨日からの雨で、部屋がタンスの中が湿っぽい。だからなのか妙に臭う。あっちゃんの香水の匂い。

あっちゃんと暮らした家

あっちゃんの居場所

あっちゃんの好きだっだ本、香水、服・・・・は、


私たちの荷物の邪魔をしないように・・・・主張はするものの遠慮深げに置いてある。


そうだった。


いつも、自分のことより私のこと。

「どこ行きたいんかあ〜。」


「何が食べたいんかあ〜。」


「ええぞ。俺がする。心配すな。」

あっちゃんは、ただ家族の笑顔が見たかったんだ。

あっちゃんは、ただ自分の事で心配かけたくなかった 。

あっちゃんは、きっと自分一人で解決しようと思っていた。

自分一人でなんとかしようと・・・

家族が笑っているために・・・・

私と娘の笑顔だけを見るために・・


泣き顔を見たくないから・・・。


言えなかっんだ。

体のことも。お金のことも。コンビニのことも。


私達の笑顔を消したくなかったから。

嘘を・・・死んでからも突き通していたんだ。

愛していたから、裏切っていたんだ。


切なかっただろう。

苦しかっただろう。

今の私より、何倍も。

ならば、受けて立とうか。

今から、コンビニのSVに電話してやる!

さようなら・・・コンビニ

本、コップ、メモ帳・・・・一つ一つ・・・が、語りかけて来て、涙で何もできない、進めない日を送っている。


コンビニとの契約が終了した。

その日、久しぶりにコンビニに挨拶に行った。

あっちゃんは、店の角にある吸い殻入れが置かれた場所でよく煙草を吸っていた。お客さんと話しながら・・・よくそこに立っていた。

事務所の中は、あっちゃんが、いた時より少しだけ綺麗に片付けられていた。

でも、やっぱり廃棄商品の山だし、雑然としているし・・・。



よく見ると、お気に入りの椅子が、揺れている。さっきまで誰かが座っていたのだろう。

あっちゃんは、椅子に座って片肘ついて頭を抱え毎日沢山の発注をしていた。疲れたら椅子にもたれかかり背伸びをする。

まだ、あっちゃんがいるようだった。

いま、ここに居ないのは、

「はっはぁ〜ん。また、煙草吸っているなぁ。」なんて、思わせるほどそこは

、全く変わっていなかった。

そっと腰を下ろしてみた。椅子からかすかにあっちゃんの臭いがした。目を閉じ椅子を揺らした。

「お疲れ様でした。」小さい声でつぶやいた。思わず涙が出た。

あーぁ。

もう、ここにも い な い。


コンビニとの話し合いは、今日で終わったわけじゃない。今日からが本番だ。これから、どれだけお金の請求がくるのかと思うと・・・・怖くて怖くて。


「あっちゃん、助けてよ!」


挨拶をして、足早に去った。

思い出はあるけれど、どうしても居心地の良い場所とは言えない。彼の苦しんでいる悩んでいる姿が浮かんでくる。


命を削った場所・・・・だから・・・



そして、私にはやらなければならないことがある。

「引っ越し」のための準備。


いつ・・・でも、出ていけるように。


この家から・・・・


片付けは、3月29日から始めた。一向に進まない。

21年間の家族の生活蓄積物は多すぎて、思い出はあるし、なかなか捨てられない。

あっちゃんのメモ書きが出てきたり、写真でも出てこようものなら、もうその日の片付けは、終わりです。


涙・・・・涙で・・・できないのです。


1年は、かかりそう・・・

大丈夫かなあー!


弁護士にお願いしてみよう。

ゆっくり片付けさせて!と。

もう一つの終り

父の死・・・・娘にとっては、

息子の死・・義父母にとっては、

兄の死・・・・義弟にとっては、

そして、私にとっては、夫の死。


同じ一人の人間の「死」だけれど、それぞれの立場で、感じ方や受け止め方にはかなりの温度差があるようだ。


悲しみや心の痛みを量る物差しがあるならば、夫を亡くした妻(私)が最もその量が多いだろうと感じる。


いつからだろう・・・

人混みの中に紛れていると、自然とあっちゃんの姿をさがすようになった。

いるはずがないのに・・・・・


誰も居ない家で、

「ただいまー」と・・・言ってみる。

声が返ってきそうで・・・耳をすます。

聞こえてくるはずないのに・・・


私はきっと、

ずっと・・・・ずっと、

あっちゃんの存在を、

探し求めていくような気がする。

彼に繋がる何かを・・、

探し求めて・・・・。


後二日で、4月。

春が来た。

彼と娘と過ごしたこの家

笑ったり、泣いたり・・・・

少しずつ築き上げてきた物も、 たくさんの思い出が詰まった物も、

全てがなくなる。

この家との生活が・・・

もう、終わろうとしている。


私に暖かい春が来るのは、もっと先のようだ。