絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

死別後の生き方

 私の両親は既に他界している。

 主人が亡くなっても…


 近くに姉妹がいたら…随分「今」が違っていただろうと思う。

 



 息子がいたら…

 家を出ることなく、今もあの家を守り生活していただろう。息子家族と義父母と大家族で賑やかに暮らしていたかもしれない。


 私の両親が山ほどお金を残してくれていたら…コペンハーゲンにでも移住できたのに…なんて思う。


 それより、主人が御曹司だったら、家に残り気晴らしに贅沢三昧!

 旅行やエステ!

 一人で面白くなくても…この家に居座っていただろう・・・


 ・・・なんて…

 

 笑ってしまうが…

 たまに…

 現実から逃げたくなる私だ…

死別後私が一番大事にしたもの…

 主人が亡くなったのは…

 娘の挙式を終え、約3ヶ月が経った時だった。


 初めての新婚夫婦揃っての里帰りは、主人の緊急入院で叶わず…。

 病室だった。

 私は病院へ泊まり込んでいた。


 娘にとっての結婚は、親元からの別れだけでなく…もう一つ深い哀しみ「別れ」も加味していた。


 主人の死後…


「娘さんの花嫁姿が見られてよかったねぇ。」なんて…


 そんな言葉を・・・

 平気で口にする人もいた。


 なんと…浅はかな・・・

 考えのない冷たい言葉を平気で吐くことができるのだろうと思ったが…

 

 「はい」とだけ返した。


 つまり…



 主人が他界した時には、もう私は、


 子育てを終え・・・

 これから本当なら…夫婦二人の人生を謳歌できる時期であった訳だ。

 私は誰にも何にも…縛られることなく自由に第二⁉︎第三⁉︎の人を歩いてゆける環境を手にしたばかりだった。

 育児も終わり…

 一人娘も嫁がせ…

 親の務めのほとんどが終わっていた。


 しかし、人生とは…そう甘くない!

 

 私は、自由が許されたばかりに、「主人との死別」「孤独生活」に埋没してしまうのである。

 仕事さえ真面目にやり切ればその後は、残り「全部」の時間を主人が死んだことを嘆き、哀しみ、悔やんでは泣くことに…良くも悪くも…費やすことができるのだ。


 それでも2、3年は仕事に没頭した。随分気が紛れたのも事実だ。


 そのうち…家に帰ると「もぬけの空」で、愛すべき人達がいない居場所に段々と嫌気がさした。


「何の為にここにいるのだろう」


「主人がいないのに私がこの家を守る必要があるのか!」


「家族がいないここで…ずっと一人で生きるのか!」


「私のこれからは…一人で義父母のお世話なのか…!」

 なんて…

 考えるようになってしまった。


 主人が逝った…時!

 その時の「私の一番」が何かで・・

 

 私の人生が大きく変わった…。

 

 その時、

 私の一番は「娘」ではなく…

「私」だった。

絶望の淵を歩くより死んだ方がいい!?

 主人は幸せ者!?

 

 嫁さん(私)は、小心者なのに…それを悟られまいと、大口を叩き、優しい旦那を完全に尻に敷いていた。

 自己中で、

 自由、気まま…

 気持ちがコロッコロと変わり、泣いたかと思えば笑い出し…怒り出す!

 主人だからこそ相手にできたのだろう。


 料理もイマイチ、休みの日は一日中寝てる…。けしてできた妻(嫁)ではなかった。

 

 でも、ノリはよかった。


 こんな嫁さん!だけど、

 主人は私を見てよく笑った。

 旅行に遊びによく付き合ってくれた。

 一緒に楽しんだ。

 

 幸せであったに違いない!

 

 何より…彼は、両親と一緒だった。離れて暮らしたのは大学時代の5年間だけ。両親、親戚、地元の友達が近くにいた訳だ。


 幸せだ!


 しかも、息を引き取る…

 その時まで・・・

 主人の横には両親がいた。

 手を握り足を撫でられ…毎日毎日…そばにいた。

 寂しい思いをすることはなかった。


 だから…幸せだったに違いない!


 そして…


 そして、主人は、愛する人との「死別の哀しみ」を知らずに逝った。


 愛する者達を深い哀しみの底に陥れることにはなったが…本人自身は「遺された者」の苦悩を知ることはなかった。


 幸せなことだ!


 この世の最大の哀しみを…苦しみを知らない訳だから…。



 これは、幸せ…と言ってよいのではないだろう…か。


 若すぎたけれど・・・

「絶望」の淵を歩く恐怖を知らない。


 そして今!

 幸いなことに…

 義父母は元気でいる。最近義母は、ガラケーからアイホンに変えたらしくたまにラインが届く。


 二人仲良く長生きできて…

 支え合いながら生きている。


 悔しいぐらい…羨ましい…。