絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

消えた足跡

春になると、その川沿いは、桜の花でいっぱいになる。川の流れも一年を通じて穏やかだ。


その川の両側の道は、道幅3メートルはあるだろうか。およそ2キロメートルにわたって続いている。

それは、中学生の通学路であったり、地元の人のランニングコースだったり、離合することが少し困難ではあるが、県道へ出る道であり、病院へ行く裏道にもなっているので私は、好んで利用した。

夏になるとその川岸で遊んでいる親子連れもよく見る。

シロサギが優雅に水辺で羽ばたいている姿も目にする。

以前・・・

そこへは、三人で弁当を持ってやってきた。桜の花で満開な頃、川のせせらぎを聴きながら、春の日差しの中で、お弁当を食べる。ただそれだけのことだけれど、今思えば、なんと・・温かい時間だったのだろう。

あっちゃんが・・いた・・・。

そのお気に入りの道が、あの日、去年12月29日・・・地獄への、不幸への橋渡しの道となった。

何かがおかしい!

と、感じたのは、その道へ入る2、3キロメートル手前だった。


感じたことのない静かな恐怖!

押し迫ってくる不安!


あっちゃんが、血を吐いた。


かつて三人で、キラキラした陽気を楽しんでいたその場所が・・・その場所へ通じる道が・・・今、悍ましい世界へと導く道と化してしまったのである。


真っ暗だった。

寒さではない震えがくる。


「家に帰る。」と、言うあっちゃんの声を無視して、私は、その道を通って救急病院へと急いだ。


あれから、9ヶ月。


夜になると、その道の両側に設置してある橙色の反射光が光り出す。

危険防止のためだろう。

しかし、私にはその光が、あっちゃんが亡くなって暫くは、まるで天まで繋がる道のようで・・・

「あっちゃーん!」って叫びながら、泣きながら通った。


思い出す。


この道から始まった。

そして、この道で終わった。


あっちゃんは、

この道から一度も

家に帰ることはなかった。

×

非ログインユーザーとして返信する