長い片思い
柔らかい手の感触で・・・目覚めた。
娘が、向日葵のパズルが欲しいと言うので、二人で出かけた。私は、両手いっぱいに荷物を持っていた。
店内に入ろうと、ドアを開けたその時、持っていた荷物が、そこら中に落ちてしまった。
「あっ」
助けてもらおうと、名前を叫んだ。
大きな声で・・・
「あっちゃん!」
やっぱり、その名前を
呼んだ!
店の前には沢山のベンチが並び、沢山の人が座っていた。でも、私のその声を聞いて、いち早く駆けつけてくれたのが、
やっぱりあっちゃんだった。
荷物を私に、そっと渡してくれた。
元気そうだった。
沢山の点滴でブヨブヨだった体も元どおりに・・・・
黄疸で黄色かった目も、とても綺麗で・・・・
最期に餃子を食べ残してしまったことが心残りだとか、切手代に、12万円かかってしまった事が誤算だったとか、よくわからない会話をした。(きっと何か意味があるのだろうと思う。)
「私が困ったとき、また、助けてくれる?」って聞いてみた。
あっちゃんは、
何も言わず手を撫でてくれた。
その手の温もりで、目が覚めた。
会いに来てくれた。
やっと!会いに来てくれたんだ。
彼がいなくなって、今日で110日。
やっと、話ができた。
ありがとう。
今日は、母の日だった。
また、会いたい。