絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

永遠の別れになろうとは…

別れたい…と思った時があった。


面白くて、優しくて、カッコいいあっちゃんだったけれど・・・


別れようと思った時があった。


嫌いなったからではない。


あっちゃんを見たくなくなったから…。


見たくない…って思った時があった。今では信じられないけれど…。

それは嫌いになったからではない。むしろ好きだったから…そう思った。

あっちゃんの、

崩れゆく姿を見たくなかったから…


お酒を手にしている姿を見たくなかったから…


健康だった頃のあっちゃんの

体型が変わり…

顔色が変わり…

弱ってゆく姿を…


見たくなかったから…。


別れたい…なんて

あの時思わなければよかった…

60歳の約束

寮のデイルームの壁の一方はセメントで閉ざされているが、もう一方は全てガラス窓で…。カーテンを開けると大きなイチョウの木が綺麗に並んでいるのが見える。

時折吹くさわやかな秋風に、さわさわ〜って音が鳴る。きっちり締められた中にいても…その木々の声が聞こえて来る。

こんな日…特に思い出す。


「もう一度、二人でハワイに行こうね!」って話した。

まだまだ先の事だけれど、二人でハワイにもう一度行こうと約束していた。


私達はよく旅行に行った。

娘が小学校時代は毎年沖縄へ行った。

中学生になると海外へも足を伸ばした。


大学生になる頃には、大阪によく行った。仕事の都合上(娘も学生だから)長い休みが取れるのが暑い夏休みか12月末そして、春休み3月の月末だった。


気候のいい時に…過ごしやすい時季に、旅行に行けるのは、60を過ぎてからだね!って…言っていた。


そうなったら…ハワイに行こうね!って…

そんなことを話していた。


家に咲いている金木犀が匂う頃になる…

2人でどこへでも行けるようになりそうだと思える頃には、一緒に行くべき相手がいなくなっているではないか!

そんなに実現不可能な夢物語ではなかったはずなのに…。

親孝行したい時には親はなし!というけれど…


熟年夫婦、2度目の新婚旅行…行きたい時には伴侶なし…っか!


イチョウの葉を揺らす秋風の色が、


あの時の・・

締め切った部屋の中でも感じた…

外は常夏の島であるにも関わらず…

虹色をしているように見えたから…


きっと!

あっちゃんも風と一緒にながれているんだろぅ…と感じ…


ずっとイチョウを見ていた。

ただ…それだけなんだよぅ!

あのねー!

本当に腹が立つ。


私は、一人で生きてんのっ!!

だからって…自分を凄い等と全く思ってはいませんから。

一人でなんか! 誰も生きたくありませんから。


仕方なく生きているのですから!


それなのに…

それなのに…


さとみさんって強いよ!


えっ!?


さとみさんって、竹を割ったような性格をしてるよねぇ。その行動力…といい、なかなかできないよ・・だとぉ!


義父母おいて…

気楽だねぇ〜いいなぁ〜・・だとぅ!


確かに…

確かに… !


あの時、2つの道があった。主人の居ない場所ではあるが今まで通り、家も仕事も変わらず、そのまま…その中で生き続けるか…。

そして、家も仕事も捨てるけれども、私の最も大切な娘のいる場所に近い所へ行ってゼロからスタートするか。

私は、笑える数が多いであろう方を選んだだけで…


楽しそうな方を選んだだけで…


ただそれだけ…で。


一人で生きているのは、一緒に足並み揃えて歩く人がいなくなったから…


ただそれだけ…なんだよぅ!