絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

怪獣…さとみゴン

娘が言った。


「お母さんも、すっかりこの地の人になったって感じだね。」って…


「お母さんはね。今はどこで生活しても同じなのよ。ここにいても心はここにない。沖縄にいて美しい景色を見ても…心はそれほど感動しなかった。

仕事をしていても、どんなに歯の浮くような嬉しい言葉をかけてもらっても・・・「ありがとう」って言葉は返すけれど、「嬉しいな」って笑顔も返すけれど…

感じないのよね…。

喜びを…。

その地に馴染んでいるように見えるのは、適当に過ごしているからじゃないのかなぁ。

一生懸命じゃないんだと思う。


問題が起こらないように…

今日という一日を、静かに過ごしているだけ。

熱くなることもなく…

今日という一日を、無理をせず穏やかに過ごしているだけ。

燃えるように活躍することもなく…

今日という一日を、ただ時間だけ過ぎればいいと・・・がむしゃらにならず過ごしているだけ。


今、文句が言いたいこともないし、しんどいこともないから…ただやるべき事だけを、可もなく不可もなくやり過ごしているだけだから…。


『あっ!


あった。1つだけ。


職場の主任さんの話し方が気に食わない。目は見ないし、単調でメリハリのない喋り方。冷たさしか感じない。

「○○して下さい」しか言わない。

たまには、褒めろよ!って思う。』


そうそう…

本当の私は、

以前の私は、

何かにつけ文句言ったり、反論したり…してたなぁ。

今では、そんな元気もなくなって、静かに流れる様に流れているから 『この町の人の様に』見えるのね。」


いつかまた、『怪獣さとみゴン』に変貌する時があるのだろうか?もう…一生このままなのだろうか…。

暫くは、怪獣は出てきそうにない。

哀しみは感情を壊す

無線に流れる男達の声


「今日は、母ちゃんが蟹を湯がいてくれとるから…一足先に帰るぞ」


「今日は大漁!嫁さんに一本多めにつけてもらおう」


父は、生前、海運会社を退職した後、漁協の組合員の資格を取得し、船を買って魚やイカを取りに行っていた。趣味だったのだが、なかなかの腕前で、結構な所得もあったようだ。その父の船の帰りを母が、いわゆる「妻」が、風呂とお酒、ご飯の用意をして待っている訳だ。

母も生前、父の帰りを待っていた。

家の中にいても父の船のエンジン音は分かるらしく、港へ急いだ。

ガッツポーズする父、嬉しそうに出迎える母…2人の姿を思い出すとバックには、いつも日本海。懐かしい。


父は、母を亡くした時70歳だった。

母が亡き後も、暫く海へ出た。

今度は・・・待ってくれている人はいないのに…

温かいご飯も、お風呂もないのに…


一人で大きなタッパーに白ご飯を詰め、おかずは、漬け物やふりかけ程度で。大好きな海だから…母がいなくなっても船を走らせた。

きっと…声をあげ泣いた日もあっただろう。

この海に…飛び込んでしまおうかと思った日もあっただろう。



真っ暗な沖で、そろそろ港へ帰ろうとしていると、いつも無線から聞こえてくると言う。


「はよぅ帰って、一杯やらんといけん。」

「母ちゃんの・・・ 料理で…」


「今日の飯は… 嫁さんの…。」


心の中で言ったらしい。





「母ちゃんが…みんな…皆んな・・

母ちゃんがいなくならんかなぁ…」

って思った・・・って電話口で泣きながら私に言った。


あの時…私はどんな言葉を返したのだろう。



お父さん…

今…その気持ち100%分かる。

(不適切な言葉の表現をお許し下さい。)

本当に死んでしまったのは、私…

自分の心のありようで…


元気にもなれるのであろうか…。

笑って過ごさなくても、「生きている」ことにたまには喜びを感じたり、感謝の気持ちが持てたり…したいものである。心が安定して…2人でいた時には、

夕陽のオレンジ色に揺れる寂しげなさざ波も…

薄暗い空から哀しげに降る雨も…

雲に隠れ見えなくなりそうな恥ずかしそうな月も…


美しく見えた。

心が元気だったから…。


私にも、

箸が転んでもおかしい年頃があった。一般的に女性の十代後半を言うらしいが…私は、最近まで、いやいやあっちゃんが生きていた時までは、「箸が転んでもおかしい年頃」だった。

あっちゃんのお陰でよく笑わせてもらったと、言うべきなのかもしれない。

本当によく笑った。

2人でいると、

何を見ても顔がほころんで…

辛いことがあっても、話せばそのうち笑えてきて…


真剣に話しているのに、いつのまにか冗談の言い合いになって…。

楽しかった。


私の心が元気だったから。


私の心が元気なのは、「あっちゃんが生きていたからだ」と、いなくなってから知った。

だから、今・・・


キラキラ輝いているあの海も…


真っ青な澄みきった空も…

綺麗な大きなお月様も…


今は…哀しく見える。


以前と見える世界が違ってきたことを、この頃痛切に感じる。やっぱり、私の心は死んでいるのだと思う。