お決まりのポーズ〜受け止める心
高架橋の下の側道を右に回ると、私のアパートに通じる道があります。
そこは、通学路にもなっていて小さな小さな横断歩道があります。
いつもは、保護者や地域の子ども110番の見守り隊のおじいさんやおばあさんが横断旗を片手に子ども達の安全を守っています。
実は、
以前からずっと…
私がこの町に来てからずっと…
多分…
私が来る前からずっと…
もう一人・・・
もう一人…
ここには男の子がいつもいました。
雨の日も…
暑い日も寒い日もいつもそこに立っていました。
直進して来る車が現れると、横断歩道の前に走り出て、一旦停止する車を前に「ポーズ」を取るのです。
右手を、サッと目の前にかざし、カッコよく車をその指の隙間から見ているようなのです。
始めは、
西陽が眩しいのかなぁ…って思って見てました。
しかし、雨の日でも、少々暗くなってからでも、太陽が出ていなくても、やはりこのポーズを取るのです。
ほぼ毎日…そこで…
そうして・・立っていました。
体調悪く、病院へ通った日も・・
彼はいました。
もう、すっかり青年です。
いつものように、車をゆっくり直進していると、彼が出て来てくれました。
お決まりのポーズです。
その日…も…
でも、その日彼の笑顔が見えた気がしたのです。
「気をつけて…」と・・・。
彼が、
私の車が右に回る時、右手を差し出し送ってくれたように見えたのです。
いつも見守ってくれていたんだ。
毎日毎日…
声掛けてくれていたんだ。
胸が熱くなりました。
