目処のつけ方
あの言葉の意味は何だったのだろう。
「コンビニどうする?体のこともあるし。心配事はない?」と、聞いた。
多分昏迷状態から抜け出して、はっきり応答出来る状態にあったから1月18日だったと思う。
その時彼は、こう言った。
「おぅ。心配ない。目処はついとる。」
何の目処がついていたんだろう。
コンビニを続けていけるという目処?
それとも、コンビニを辞めるための目処?
もしかして、お金を返せるという目処?
まさか、自分の命の・・・?
今となっては、全くわからない。
「どうして!」
「何のために?」
ある時から私の涙は、あっちゃんの死を慈しむことより、黙ってつくった借金のことを死んでも話さなかったことへの不信感と、最後まで気づかずにいた自分の愚かさに腹が立ち苦しくて泣くようになっていた。
悶々とした毎日が続く。
苦しくて仕方がない。
人間「分からないことがある」時が、一番苦しいらしい。私も、最近知ったことだ。
その苦しさをどうにかしようと、私は、後日その銀行へ出向き、お金の流れを確認させてもらった。
すると、銀行と交わした借用書の中に、「商品設営のため」と書いた項目を見つけた。彼の字だった。
やっぱり・・・
やっぱり・・・
やっぱりそうだった。コンビニの運転資金のために借りたお金だった。
全部が全部そうだとは思わないが、売り上げが上がらない時の・・・商品購入費だとか、人件費などの経費だったのだろう。
彼は、そんな厳しい状況にあることを全く家族に感じさせずに毎日を過ごしていた。
この10年以上、全く変わることのない生活を送ってこられた。何一つ困ることなどなかった。むしろ幸せだった。
でも、あっちゃんは、苦しんでいたのだろうか。
悩んでいたのだろうか。
誰かを恨んだり、投げやりな気持ちにならなかったんだろうか。
点と点とが結ばれていく。
忘れようとして飲んだお酒だったのか。
陽気に振る舞うために飲んだお酒でもあったのか。
私達に心配かけまいと、一人で解決しようとして、飲んだお酒だったんだ。
そうだったんだね。
それなら、尚更のこと・・・!
「的外れだろ」と、言われようが
そんな大金を貸す前に、家族には話すべきだろうと、銀行に・・・腹が立つ。
そして、そこまで、個人経営者に責任を持たせていいのか!と、コンビ二に・・・腹が立つ。
「目処がついている。」とは、
コンビニとの契約が切れる最後の年に、借金を0にする計画だったのだろう。
黙って一人で考えて・・
悩んだのかなあ・・・。
苦しかったよねー!
悲しかったよねー!
私は、弁護士に相談する決意をした。