感じていた…「死」
もう絶対に眼を開けることも…
微笑むことも…
私の名前を呼ぶことも…けしてないのだと・・・
永遠の眠りについた彼の姿を眺めて…そう思った。
まだ温もりのある手や頬を触りながら…。
共に年を重ね…ることができなかったことを心底悔やんだ。
お前百まで わしゃ九十九まで…
まだまだ一緒にすべき事を沢山遺して…よくもそんなにスヤスヤと寝てられるものだと腹立たしさを感じながら彼の身体に触れていた。
じっと顔を見つめていると…
この光景をどこかで見たような…気がした。
こうなる事を予想していたように思った。
私には分かっていたような…気がした。
だから・・・
こんな夫婦の結末を迎えたことに、私は驚いてはいなかった。
ただ…誰が決めたのか・・・?
「24時間の命」と言われるほど身体が悪くなっているとは思わなかった。
こんなに早く…そして吐血して…直ぐに別れがやってくるとは…思わなかったから…。
哀しかったし悔しかった。
だけど…わかってたんだ…。
いつの頃からか…彼が死んでしまうのではないかと漠然と感じていたんだ。
何故だろう。
理由はわからない。
「この人…死んでしまいそう」なんて…神様でもあるまいし…って思うだろうが・・・
私は、本当感じていた。
彼の死を予感していたのだ。
