絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

追憶① 大馬鹿者!

 まさか…

   死ぬなんて思わないから…


 娘の挙式から約1ヶ月後…

 二人で帰省すると聞いて嬉しくて。

 

 12月27日から冬休みに入っている私は、普段しない掃除を念入りにすることにした。次の日も次の日までかかった。

 コンビニの仕事は全く手伝わずに…。

 心ウキウキ…。


 娘婿が家に来るのは、

 大学生の時に遊びに一度と、結婚の許可をもらう時、結納…そして今回家族になって初めて・・・。


 隅々まで掃除した。

 布団も新品を用意した。

 年越し蕎麦も地域で評判の良い店で予約した。


 後は、二人が来るのを…


 待つだけだった。

 

 賑やかに…結婚式のDVDを見ながら食べたり飲んだり…幸せな大晦日を四人で過ごすはずだった。


 まさか!死ぬなんて思わないから…


 私は二人が帰って来ることに頭がいっぱいで…ウキウキで・・・

 あっちゃんの体調が随分悪くなっている事も気づいていたような…いなかったような・・・。


 まさか…死んでしまうなんて…思わなかった。


 あっちゃんが死んでしまってから聞いたんだ…。


 注文を受けたクリスマスケーキを、あっちゃんが一つ一つ…配達したんだって…。

 一人一人にお礼を言いながら…

毎年予約してくれるお客様のところに…。

 帰り際、歩いている後ろ姿が、まるで足を引きずっているかのように見え痛々しかったと。

 

 その時、あっちゃんの身体は、もう既に悲鳴すら出ることもなく、何かの力に引っ張られている様な不思議な力に動かされていたのだと思う。

 感謝の気持ちを伝えたくて、最期のクリスマスケーキを手渡ししたのだ。


 知っていたのかなぁ。

 最期のクリスマスケーキ…

 

 だから、せっかく大掃除したのに…

 大晦日は緊急入院した病院の病室。


 そして、あっちゃんは、

 娘婿とたったの一度も一緒に大好きなお酒で乾杯することもなく…

 新しい年を一緒に家で祝うことも一度もなく…逝ってしまった。

 

 馬鹿だよ…本当に!


 大馬鹿!


 私は…

 あれから・・・

 盆も正月もクリスマスも…何もかもが嫌になっていたんだ。

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