5分から3時間へ…
何もなくなった部屋に立たずみ…
「引っ越したばっかりの時は、こんなだったなぁ…」…って婿殿。
年を重ねるごとに、物が増え・・
愛する家族が増え・・・
大切な思い出が増える…。
ピカピカに拭き掃除した床に顔を写していたら自然に涙が落ちた。慌てて涙を拭きとり何もない部屋の隅に目をやった。
一瞬…だったけれど、小さかったなっちゃんが見えた。そんな気がした。
主人を亡くして…
私は毎週毎週…
高速2時間飛ばして…ここに来た。
小さな小さななっちゃんに会うためだった。
長い休みには1週間以上滞在した。
私は主人に会えない寂しさや哀しさを、いつの頃からか、この場所で…埋めていったのだと思う。
婿殿の屈託のない笑顔と娘と孫に会うことだけが…。
私の唯一の喜びだった。
一人になったけれど…
一人じゃないんだ!と感じられる瞬間でもあった。
私の生きる力とやる気になった。
そして…
主人が亡くなって2年が過ぎた頃、一緒の街で暮らすようになって…
毎日のように…
ここに来た。
私のアパートから5分もかからない…この場所に来た。
そして今日…
娘家族が乗った車を見送った。
私のアパートから高速飛ばして約3時間かかる所へ行った。
毎日は行けないなぁ…と思った。
