二人でよく行った海が恋しい
すごい…雨…。
あっちゃんが死んでから…
雨の日は好んで海に行った。
車に乗って、
ただ海を見つめているだけの時間。
雨音…が、
車のフロントガラスを流れる雨だれ…が、
誰もいない砂浜…が、
霧で少しぼやけて見える島々が…、
全部…全部・・・
哀しかった。
今日…仕事が終わって・・・
港に向かって車を走らせた。
ここ…に来たばかりの時は、娘と二人で、綺麗な夕日を探そうと…何度が海に来た。
そして、今まで数回…海を見た。
その場所を思い出し車を走らせてみた。
しかし…
行けば行くほど暗くなる。
川か…海か・・・分からない場所で止まった。
辺りは真っ暗…
何しに来たんだろう…。
何を探しに来たんだろう…。
優しい気持ちになりたくてやって来たはずなのに…
「独りぼっち」でいる哀しさに押し潰されそうになり…
こんなことの繰り返し…
そそくさと帰ることにした。
やっぱり…一人のアパートに…
帰るかっ!
