再生
秋の夜長・・・
見たいテレビもなくて、
時間を持て余していると、
「駄目だなー・・・」
私の心のいっぱいが
あっちゃんになってしまう。
そうなったら、もう、
泣くしかない・・・・。
ふと、リビングの一角に・・・・あっちゃんの写真を数枚飾っている狭いスペースに、目を向ける。
カラオケで永ちゃん!
両手を広げ、気持ち良さそうに熱唱しているあっちゃん。
50cmはあるだろうか?鯛を釣り上げ満面の笑みを浮かべているあっちゃん。
鹿に追いかけられ苦笑いしている。
煙草を手に、私が作ったお弁当をつまんでいる。
どれもみな、私に笑いかけているように・・・・見える。
その笑顔を見ると涙が落ちる。
この笑顔・・もう本当に見れないのだろうか。
肝臓は、再生することがない臓器だそうだ。
10年、20年をかけて徐々に悪くなっていった肝臓は良くなることがない・・・そうだ。スポンジの様な肝臓がまるで砂ずりのようにカチカチになり、養分の貯蔵庫である肝臓が、その機能を発揮しなくなる。
再生はない!
おそらく、
あっちゃんが、生きていたら、入退院を繰り返すことになっただろう。
腹水が溜まったら、その腹水を抜いたり、肝性脳症の状態が出てしまうと寝たきりになってしまったり・・すると、段々仕事も出来なくなっただろう。
ほぼ毎日通院。
体が怠く、自由が利かない。
お酒も飲めない。
食事制限もある。
体が膨れ、体型が変化する。
大好きな旅行にも行けない。
私だったら・・・
と・・考えた時・・ふと ・・
不吉な予感が脳裏をかすめる。
もう月めくりのカレンダーが、2枚となった去年の今頃・・・
あっちゃんは、お酒を飲んでいた。(多分・・隠れるようにして飲んでいたので確かではない。)
娘の結婚式のDVDを見ながら・・
自分の体には「お酒」が「毒」だと知りながら。
あの行為は、自滅!?
諦め!?
私にとっての裏切り行為!
もしかしたら・・・
あっちゃん・・・
まさか? 違うよね!
そう・・
思って、写真に目を移すと、
あっちゃんが、
哀しそうに
微笑んでいるように感じた。
今日は、もう眠れない。

