大きな窓から見える光の海…に、

　ベットをトランポリンにして、はしゃぐ孫達の笑い声…

　スーツケースを開き、嬉しげな娘の横顔…

　ソファーに座り携帯を手に、くつろぐ娘婿…

　人に飢えていたのか…

　愛に飢えていたのか…

　

　この…美しい夜景がそうさせるのか…

　自然に涙がこぼれる・・・

　私の心はとても穏やかだ。

　心が微笑んでもいる。

　

　ならば・・・

　この涙が意味するものは・・・

　　

　そうなのだ。　

　どんな時でも…

　いつも足りないものがある。

　

　私は、これから先も…死ぬまで…

　満足感を感じ…

　心が満たされることがないのだろう。

　「一つ足りない…」

　「一人足りない…」

　そんな…人生を送っていくのだろう。

　足らなければ、得ればいいと思う。埋めればいい…と思うだろう。

　だが、そうはいかない！

　主人は主人でなければならないのだ。　

　何を得ても…

　美しい街のネオンを見ても…

　楽しい笑顔に出会えても…

　主人でなければならない！！

　

「これをどうしようか」が、「遺された者の課題」だ。

　

　とは…言え・・

　生きている私は、

　主人の見れなかった未来を見て…

　喜びに涙して…

　愛しい人と抱き合うことができる。

　　

　その時その時の喜びを一つ、二つ…と貯めていき慰められ、癒されることで…

　少しずつ…少しずつ・・・

　埋めていくしかない…。

　目の前のキラキラしている夜景のように、喜びのカケラを集めよう。

　満足のいく風景は創り上げられなくても…

　

　私なりの光の道ができるはず…