泣いて!叫んで!歌って!!
主人名義の車だったから…
相続放棄をしようと決意した時「この車も使われなくなるんだ!」と思い…
本当はいけないことだったらしいけれど…急遽処分し、私名義の車(中古)を買った。
その時から今の車に乗っている。
だからもう7年になるのかぁ…。
黒い車から白い車に…
絶対に必要なものはナビだった。
主人がいる時は、何処に行くにも彼が行き先を示してくれる「人間ナビ」だった。
しかし主人がいなくなり、私の行き先は機械に頼るしかなくなった。
そうだなぁ〜
目的地までの道順だけでなく、「ナビ」が、これからの私の進むべき道までも教えてくれたらどんなによかっただろう…なんて考えたこともある。
主人が死んだことで、
私の人生(生きるため)の道も…
行き先も…
照らし示すものがなくなってしまった…と言う訳だ。
これが「死別」ってこと…かっ。
でも!
さあ!
ナビもついたし、何処にでも一人でいける。ETCもつけてもらったし!!
完璧!
一人旅ができる!
私は休みの度に海に出かけた。
まだ仕事をしていた為、近くの思い出深い海に行った。
一人だけど「一人」ではなかったような気がする。
車を買って直ぐに、助手席の前に主人の写真を飾った。(もう7年…そのままだ。随分色褪せてしまってはいるが、ずっとそのまま・・・。主人はいつも私を見て笑ってる。)
金曜日になると、高速を2時間飛ばして娘の所へ…行った。
姉の住む九州に…も。
姪がいた大阪…まで車を走らせたことも数回。
主人の死後、2年間でどれだけの距離を走ったのだろう。
車の中は…
ある時はカラオケボックスに、
またある時は、絶叫マシーンに、
そして、トトロのお腹の様にもなった。
大声で泣いたり…
主人の名前叫んだり…
馬鹿みたいに歌ったり…
私の哀しみを運びながらも、癒しや楽しみを与えてくれていた。
私だけの誰にも邪魔されない、わがままな空間だった。
この車が大好きになっていった。
左を見ると、主人と目が合う。
運転しながら写真の主人と話をした。
主人が死んでからの…
私の哀しみ、苦しみ…
誰にも見せたことがない私の醜態…をのせて走った。
しかしその車の調子が悪くなった。去年の夏あたりから・・・
人も車も…
生き続けていると…
使い続けていくと…
何処かしらガタがいくもので…
燃費も悪いし、
お手頃の新古車を買おうと思ったけれど…
助手席の前で主人が笑っているし…
何故か…捨て難く…
1月13日
車検に出した。
まだ戻ってきていないけれど…
健康になって…
悪いところ全部直して…
帰ってきて欲しい。
この車の中で流した「涙」と同じぐらいの「しあわせ」をのせたら手放すことにするかっ!
