心がいつまでも過去にある
去年の今頃…
「24時間の命」と言われたにも関わらす、生きているあっちゃんと不思議な気持ちで…毎日を過ごしていた。
あっちゃんは、絶食と24時間の点滴が続いていた。
コンビニを経営するようになって、二人でゆっくり、のんびり…こんなにも長い時間過ごすことがなかったから、幸せな時間だった。
ただ、「24時間の余命宣告」さえなければ…
そんな時、主治医から、嬉しい嬉しい報告を聞いた。
「峠は越した」と、聞いた。
「えっ?」
その時は、
あっちゃんは、死なない。
あっちゃんが、奇跡をくれた。
・・・と、嬉しくて…嬉しくて嬉しくて天にも昇る心地だった。
そのうち、段々腹が立ってきて、あっちゃんに、 大晦日の日、先生に呼ばれて、「24時間の命」だと言われた事や その日の夜、家族で葬儀会社の話までしたことを話した。
話しながら・・泣いていた。泣きながら・・・・話した。
「ありがとう。あっちゃん。
生きてくれて、ありがとう。」
心がそう…叫んでいた。
主治医は、「死ぬ」と言う…そんな嘘をつくだろうか…
確信のない事を、しかも「死ぬ」なんてことを、簡単に口にするものだろうか…
疑念を抱きながら…
でもやっぱり信じた。
あの時は信じたかった・・
でも本当は・・きっと、
(主治医は分かっていたはず。死への時間を…。峠は波のように幾つも幾つも押し寄せてくることを…。そして、あっちゃんの命の炎は、確実に勢いをなくしてきていることを…知っていた。)
私も、
あっちゃんの身体から聴こえる小さな悲鳴を聴いていた。
もっと耳を傾ければ…
もっともっと前に…
去年の今頃は…
あの時は…
心がいつまでも過去にある。
