スッと…消えてしまおうか
寒かった…
雪が積もらなかったことに安堵しながらも、何もかも覆い隠す銀世界を見てみたい気持ちもあった。
今日は仕事。
帰る頃になって、綿雪が舞った。後から後から…降りてくる。
天から…ゆっくり…舞い降りる。
綿雪は、地面に着く…その瞬間に消えて無くなってしまう。
儚い…その白い舞をほんの少し楽しんだ。
「消えて…無くなる・・・」か。
随分前に・・嫁は辞めた。
あっちゃんがいないから・・
・・妻も辞めることになった。
私が此処にいる理由がなくなった。
私も・・・スッと…消えてしまいたい。そう思った。
おそらく、桜の花が咲く頃…
裁判は終わるだろう。
そうすると、あっちゃんの持っていた全ての物が・・・
無くなってしまう。
二人で過ごしたこの家も無くなったら…
私が此処にいる意味が…無くなる。
私は・・綿雪になろうか。
ふあっと、何処かへ飛んで行こうか…着いた居場所が居心地悪かったら、スッと消えてしまおう…か。
あっちゃんがいない世界は…
こんなもの…
スッと…消えてしまいたい。
