姉と妹と娘
「四国の道後でいい?」
旅行の幹事のほとんどが、いつからか妹の役目のようになっていた。
私と言えば…いつも…
「どこかへ行こうやぁ。」と、騒ぎ立てるだけで、調べたり計画したりなどということを全くしない。
私に、友だちができないのは、そんな性格に有るように思う。
決して…自分から誘わない。電話もしない。誘われたら行くが、100%ではない。昔からそうだった。
そんな私のことを知ってか知らずか、妹はさっさと予約してしまう。(これが頼もしい。)
誰にも許可を得る必要はないし、迷惑を掛ける人もいない訳だから…気軽に何処へでも行けそうなものだが・・
それが、そうでもない。
あっちゃんがいなくなってから、何処にも行きたくなくなった。
まず、沢山の人を見るのが嫌。
次に、楽しい時間を「楽しい」と共有できないかもしれない「しんどさ」がある。
そして、笑わなければならない…と思うと、これが面倒。
最後に、情緒不安定な私の予測不可能な涙…
この一年と半年…娘の所にだけは行けた。一人で…車を走らせて。
それは、あっちゃんの死を共感でき、互いの気持ちに寄り添い、分かり合える安らぎにも似た安心感があったからだと思う。(なっちゃんもいるし…)
しかし…娘には、娘の家族が…人生がある。いつまでも自分の気持ちを押し付ける訳にはいかない。それに、新しい家族もでき、しっかり歩き始めている娘に、必要以上に「哀しみ」を味わわせることなどしたくない。
娘には、
父はいなくても、「母」がいるから安心しろ!っと…
沢山笑え!っと…伝えたい。
三姉妹で行く久しぶりの旅行。
姉や妹の優しさに、甘えてしまうかもしれない。
でも…旅行を終えた時…、「あっちゃんの死」が、今と少しでも違う受け止め方ができたなら…私自身の気持ちを変えようと思う勇気が持てたなら…何かを始められそうな気がする。
四国への旅で…少しでいいから「変われる自分」を期待したい。
