あっちゃんの声を探しに…
「愛してる」だとか…
「好きだ」なんて…
自分からは、決して言わない…
私に発する・・・
「ありがとう」
「ごめん」も…
あっちゃんの辞書には・・・
なかったみたい…
この5文字程度の有り触れた言葉が、心を繋いでくれるのに…
この短い言葉だけでいいのに…
この言葉を聴くことで救われそうな気がするのに…
どこからも・・・そんな声
聞こえてくることはない。
今流行の・・・
唄の台詞じゃないけれど…
会いたくて…会いたくて…
どうしようもなくなった時・・
私も人知れず…海へ行った。
そして、車の中で大音量の音楽を流し・・・ただ泣き…叫んだ。
名前を大声で何度も…
何度も呼んでもみた。
ひとしきり泣いた後…
音楽を消し窓を開けた…。全開。
暗い暗い天の上からでも・・
深い深い海の底からでも・・
どこからでも…いいから…
あっちゃんの声を聴くために…
耳を澄ました。
生きている時に言ってもらえなかった「5文字」を聴くために…真っ暗な砂浜を眺め時間を過ごした。
あれから2回目の夏がやってきた。
しばらくは朝も夜も関係なく賑わう楽しげな海には行けそうもない。また、涼しい風が吹き始めた頃、あっちゃんの声を探しに海へ行こう。
