哀しすぎるメール
肝性脳症の昏睡状態に陥る5日前に、当時使っていた私の携帯に届いたあっちゃんからのメールだ。
ただ…ゴン…とだけ・・。
片隅に…ゴン…とだけ・・。
これを見ると、弱々しく感じる。何か言いたそうで…言えない。そんな迷いも感じる。
当時、意識はしっかりしていた。だから、間違えて送信したのか、伝えたいことがあったのか…。
今となっては分からない。
その日から5日後の1月9日…あっちゃんは暫しの深い眠り…昏睡状態に入った。一週間続いた。
そして、目覚めた。
しかし、一切深刻な話をする様子も、不安そうな素振りも見せずに過ごした。
だけど…本当は、私に、話したいことが、いっぱい…いっぱいあったのだろう。そうに違いない。
助けを…求めたかったのではないだろうか。
分かってあげられなかった…
気づいてあげられなかった…
私だって、目覚めて5日後に永遠の別れをすると知っていたら、もっと…もっと…いっぱい話したかった。ベットにずっと横たわっていたけれど…あっちゃんの胸借りて…声を上げて泣きたかった…。すがりつきたかったし…「愛してる」と伝えたかった…。
私だって…もっと話したかった。
私は、哀しくなった時、アルバムの中にあるこの写真を見る。
ゴン…と、だけの…メール。
ゴン…私の愛称。
あっちゃんが付けて、あっちゃんだけが呼んでいる。ジュゴンの「ゴン」だ。体が大きくて食欲旺盛で、よく寝て…まるで、私そのもの。
ゴン…
なんて…この後…綴りたかったのだろう。
それを想像してみる。
その時…その時によって言葉はちがうけれど。
ゴン…の後のあっちゃんの心が、
見えるような気がする。
ゴン…元気出せ…って・・・。
ゴン…。
